【あらすじ】
時と所:1806〜1812年・オトラードノエ、ペテルブルク、モスクワ、ボロジノー、フィリ、ムィチシチ、スモレンスク(ロシア)
エピグラフ(題辞)
 「ヨーロッパ内の12の民族が大軍となりロシアに攻め入る。しかしロシア民族は敵を倒すために立ち上がり、必ずや勝利するだろう!」と勇壮な合唱が流れる。
第1部<平和>
第1場/ロストフ伯爵邸(オトラードノエ村)
 所用でロストフ伯爵邸を訪れたロシア軍士官のアンドレイ・ボルコンスキー公爵は、この日眠れぬ夜を読書で過ごした後、窓辺で真夜中の美しい庭を眺めながら「清らかな春の空よ Svetloe vesennee nebo」と歌う。すると2階からこの家の令嬢ナターシャと、彼女の従姉妹ソーニャの、同じく春を讃える二重唱が聴こえてきた。最近妻を亡くしたばかりの31才のアンドレイは、自分の暗い心が若くて美しいナターシャの存在に救われていくのを感じた。
第2場/舞踏会場(ペテルブルク)
 ロストフ伯爵が、娘のナターシャと姪のソーニャを連れて、高官邸の舞踏会場に現れる。会場にはピエール・ベズーホフ伯爵と妻のエレン、エレンの兄のアナトールとその友人ドロホフの姿もあったが、先に来ていたナターシャの名付け親のアフロシモーヴァは、ナターシャに「彼らはロクな人たちじゃないから関わらないようにね」と耳打ちをした。エレンは人妻でありながら男性関係にだらしがなく、その兄アナトールもまた女性を誘惑することを常にしていると言う。ワルツが始まり皆が華やかに踊る中、ナターシャが誰も私を誘ってくれないとすねている所へ、アンドレイがやって来た。アンドレイはナターシャを踊りに誘うと「春の夜にお宅で貴女の歌声を聴きましたよ」と言い、2人の間には仄かな気持ちが芽生える。そんなナターシャの美しい姿を見たアナトールは、妹のエレンに、どうにか彼女との仲を取り持ってほしいと頼んだ。
 娘の嬉しそうな笑顔を見て、ロストフ伯爵はアンドレイを週末自宅に招いてナターシャと去っていくが、アンドレイは名残惜しそうにナターシャの背中を見送りながら、ある賭けをしてみる。「彼女がこの後最初に従姉妹の所に向かったら私と結婚する..」。ナターシャは真っ直ぐに従姉妹のソーニャの所へ向かった。
第3場へ
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