第3場/ボルコンスキー老公爵邸(モスクワ)
 ボルコンスキー老公爵は、息子が身分の低い相手と結婚することに反対だった。そこで1年間をヨーロッパで過ごし、それでも2人の気持ちが変わらなければ結婚を許すとの条件を出し、アンドレイはヨーロッパへ旅立っていた。アンドレイの留守中、ナターシャは父ロストフ伯爵と共にボルコンスキー邸を訪れ、何とか自分のことを認めてもらおうとしたが、老公爵はなかなか会ってくれない。ロストフ伯爵は「お前は賢いのだから、結婚してしまえばきっと気に入ってもらえるさ」と娘を慰める。召使いたちがアンドレイの妹マリヤに取りついでくれ、ロストフ伯爵が「アフロシモーヴァを訪ねて来る」と出かけている間、ナターシャはマリヤと2人で話をした。するとそこへボルコンスキー公爵が現れ、マリヤに向かってわざと「そこにいるお嬢さんの家柄はいいのかい?まあ私もお前の家庭教師のブリエンカと結婚するんで、皆好きにすればいいさ!」と言い出ていった。マリヤは何とかその場を取り成そうとしたが、ナターシャの心は深く傷つき、ロストフ伯爵が戻って来てマリヤと話をしている間にも「一体どんな権利があって、彼らは私を身内にしないと言うのかしら?」と歌った。そして気持ちの昂りからか、優しい言葉をかけてくれたマリヤにもそっけない態度を取り、屋敷を出ていった。マリヤは「兄の選んだ人なのだから、私も彼女を愛さなければ..」と自分に言い聞かせた。
第4場/ピエール・ベズーホフ伯爵邸の舞踏会場
 ピエール・ベズーホフ伯爵の妻エレンは、兄アナトールのために何とかナターシャとの仲を取り持とうと、彼女を自宅の舞踏会に招待して、兄がどんなにナターシャを想っているかを伝えた。尻軽なエレンにしてみたら、ナターシャに婚約者がいることなどはまるで関係なかった。そこへナターシャの父ロストフ伯爵がやってきて娘を連れ帰ろうとするので、エレンは「僧院長がフランスのお話をしてくださるそうですわ」とロストフ伯爵を引っ張っていく。ナターシャが1人になった所へアナトールが現れ、駆け落ちを仄めかした手紙とキスを残して消え、その熱烈な恋文を読んだナターシャは、婚約者のアンドレイを想う気持ちとは裏腹に、アナトールが気になり始める。その動揺した姿を見た従姉妹のソーニャは、アンドレイがいるのに不謹慎だとナターシャを責め、ロストフ伯爵も「こんな所に長居は無用だ」と娘を連れて帰る。
第5場/ドロホフの部屋
 アナトールは友人のドロホフの部屋で駆け落ちの支度をしている。ドロホフは、結婚しているアナトールがナターシャを騙して駆け落ちすることを咎め、女は気軽に遊ぶだけの方がいいぞと忠告するが、アナトールは聞く耳を持たずにトロイカ(馬ぞり)の御者バラガを呼ぶ。説得を諦めたドロホフは、仕方なくアナトールに資金を渡すと、呼びつけてあった彼の遊び相手のジプシー女マトリョーシャと、御者バラガと共に皆で乾杯をしてアナトールを送り出す。
第6場へ
オペラ名曲辞典TOP