第2部<戦争>
第8場/ロシア軍陣営(ボロジノー)
 遊撃兵チーホンの指揮で、民兵たちが塹壕(防弾用の堀)を掘っている。そこへ従軍中のアンドレイと、パルチザン(ゲリラ)軍を率いるデニーソフ中佐が通りかかり、互いにロシア軍総司令官のクトゥーゾフ元帥の所へいくことが分かり一緒に歩き出す。2人はパルチザン方式についての意見を交わすが、アンドレイの心の中は、自分を裏切ったナターシャを想う気持ちが半分を占めていた。隣にいるデニーソフ中佐は、ナターシャの前の恋人でもあった。軍陣営に着くとピエールが会いに来ていたので、アンドレイは「もう会えないかもしれない..」と前線に出る覚悟を示してピエールと抱き合った。やがて兵士たちの「万歳!」の声と共にクトゥーゾフ元帥がやって来て、皆に激励の言葉をかけると、アンドレイを呼びつけ「司令部に来て私の傍で働かないか?」と言った。アンドレイは「私はこのまま馴染みの深い連隊での前線勤務を希望します!」とこれを断る。大砲の音が開戦を知らせ、兵士たちは一気に戦闘体制に入った。
第9場/フランス軍陣営(ボロジノー)
 シュワルジノの堡塁(敵からの攻撃を防ぐ地)で、ナポレオンは自信満々に戦いの勝利を歌っていたが、今回は今までの戦いとは少し違っていた。各部隊からの相次ぐ援軍要請や、指揮官の戦死..。情報が交錯する中多くの作戦変更を余儀なくされ、ナポレオンは思い悩んだ。その時至近距離にロシア軍の大砲が撃ち込まれ、彼らは間一髪命拾いをした。
第10場/ロシア軍作戦会議場(フィリの農家)
 ロシア軍の戦略会議が開かれ、首都モスクワを明け渡すかどうかの議案が出される。総司令官のクトゥーゾフ元帥は、苦肉の策で首都を守るよりも兵を守る方針を選び、その替わりにモスクワの地でフランス軍を叩き潰すと宣言した。兵士たちは心を一つにし、祖国ロシアのために元帥と共に戦い抜くぞと歌った。
第11場へ
オペラ名曲辞典TOP