時と所:十字軍の時代・エルサレム 第1幕
第1場/宮廷の回廊
イスラム教徒のスルタンであるオロズマーネが、キリスト教徒の女奴隷ザイーラと結婚すると知った大臣のコラズミーノは、何とか二人の結婚を阻止しようと躍起になっていた。ザイーラの侍女であるファティーマもまた「フランスから身代金を持った使者が助けに来るはず」とザイーラに言い、異教徒同士の結婚に反対した。しかしザイーラは「私は孤児だし、例え宗教は違っても愛する人と一緒になりたい」と、結婚の意志が固いことを告げる。そんなザイーラの本心を確認するため、オロズマーネが彼女の元を訪れたところへ、フランスから身代金を持った使者が現れ捕虜の解放を訴えた。オロズマーネは使者の騎士ネレスターノに「持参した10人分の金で100人の捕虜全員を解放しよう。しかしエルサレム王の子孫であるルジニャーノと、私の許婚ザイーラだけはここへ残す」と言い、周りの家臣たちに婚礼の支度をさせた。
第2場/宮廷の広間
地下牢へ通じる広間で、フランスの騎士ネレスターノが「ルジニャーノ以外の捕虜は全員釈放される」と捕虜の一人カスティリョーネに伝えるが、それを聞いた他の捕虜たちは「彼を残して行くくらいなら、我々はここで死んだ方がましだ」と歌いこれに反発する。そこへザイーラがルジニャーノと共に現れ「彼の釈放も受け入れられました」と言うので皆は喜び、ルジニャーノはザイーラと使者のネレスターノに感謝の気持ちを伝える。ところがそれぞれの生い立ちなどを話しているうちに、ザイーラとネレスターノがルジニャーノの生き別れとなった子供たちだということが判明し、三人は偶然にも親子の再会を果たす。喜びに涙するルジニャーノだったが、娘のザイーラが異教徒のスルタンと結婚するという事実を知ると、その裏切りに今度は死をも考える程絶望する。そんな父親にザイーラは「決してキリスト教を捨てることはありません」と誓うが、ルジニャーノの気持ちは晴れない。やがてそこへオロズマーネの家臣メレドールがやって来て、捕虜たちは再び牢へ、ザイーラはオロズマーネの元へと連れて行かれる。
第3場/ハーレム内
「使者のネレスターノが帰る前に、彼と二人きりで話がしたい」と言うザイーラに対し、オロズマーネがこれを快く許すので、ただでさえ捕虜全員の解放に反対していた大臣のコラズミーノは更に気分を害していた。オロズマーネの指示で全員がその場から退出すると、ネレスターノは早速ザイーラに「結婚は諦めるように」と説得を始める。最初はオロズマーネへの揺るぎない愛を貫こうとしていたザイーラも、兄の口からとうとう父ルジニャーノが自害してしまったと聞き、強く心を痛める。そして戻って来たオロズマーネに「結婚を待ってほしい」と言うので、彼はこの事態をネレスターノのせいと確信し憤慨する。
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