第2幕
 僧侶の行進に乗ってザラストロが、僧侶たちを率いて登場する。ザラストロは僧侶たちに王子とパパゲーノが、イージスとオジリスの神に仕える、聖職者の仲間に入りたいと希望していると伝える。2人は神殿に連れて来られ、暗闇なのでパパゲーノは怖気づく。だが王子はどんな試練にも、打ち勝ってみせると誓う。パパゲーノも試練に耐えれば、美しい娘が手に入るといわれて、その気になってやってみようという。
 そこへ3人の侍女が姿をみせ、ここにいると命が危ないと脅かすので、パパゲーノは震え出すが、王子は毅然とした態度で耳を貸さない。庭園でパミーナが眠っているところへ、モノスタトスが忍び込んで来るが、突然母親の夜の女王があらわれ、モノスタトスを追い返してしまう。女王は娘に短刀を渡して、これでザラストロを殺せと迫る。パミーナが短刀を手に悩んでいると、モノスタトスがあらわれ彼女を陵辱しようとする。危機一発にザラストロが来合わせ、モノスタトスは追放される。
 王子とパパゲーノは大広間に連れて来られ、王子は沈黙を守っているが、パパゲーノは愚痴ばかりこぼしている。パミーナが王子に会いにやって来るが、王子は沈黙を守っているので、自分への愛がさめてしまったと誤解して悲しむ。王子とはぐれたパパゲーノは、1人の老婆と出会う。その老婆はしかし、パパゲーノが手を握ると、自分と同じ服装をした若い娘に変身する。彼女がパパゲーノの未来の妻、パパゲーナである。
 場面は替わって庭の片隅で、パミーナが思い悩んでいる。母親からの短刀で自殺しようとすると、3人の童子に彼の愛は少しも変わらないからといわれて、やっと思いとどまる。大きな岩山のある場面になって、王子の最後の試練が始まろうとしている。パミーナと再会した王子は、強い愛の力でその最後の試練も克服すると、2人で合い携えて試練に向かう。
 一方パパゲーノの方は、もうパパゲーナと一緒になれないと思い、首をくくって死のうと覚悟を決める。すると3人の童子があらわれ、グロッケンシュピールを鳴らせばと忠告する。早速彼がそのグロッケンシュピールを鳴らすと、その音を聞きつけてパパゲーナがあらわれ、ここで愉快で感動的な二重唱「パ、パ、パ」が始まる。
 夜陰に乗じてモノスタトスの手引きで、パミーナを奪い返そうと夜の女王たちがやって来るが、彼らが神殿に近づいた瞬間に、すさまじい嵐がまき起こり、太陽の光が燦然と輝き始めるので、夜の女王達は永遠の奈落に消え、数多くの試練に耐えた王子のタミーノは、ザラストロの神殿に入信を許される。最後は全員の厳かな合唱の中に、幕は下ろされて行く。
(C)出谷啓

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