<第2幕> 第1場/ロマの群れ
大地主ドラゴティンの娘ゾリカは、ロマのヴァイオリン弾きヨッシィと共に、ロマの集団にたどり着いた。ゾリカは首長に、自由を求めやって来たと伝えたが、首長は「何を自由と考えるかは、その者次第だ」と、ロマの決まりを守るよう言った。まずは物乞いと盗みを覚えなくてはならないその生活は、ゾリカにはどうにも耐え難いものだったが、女性に人気のあるヨッシィを自分だけのものにするためには、盗んだ物を貢ぐしかなかった。そこで父ドラゴティンの屋敷に忍び込む。久しぶりの我が家でこっそり見たものは、従姉妹のヨーランと、彼女の夫となった市長の息子ディミトレアヌ、そして2人の可愛い子供達。ヨーランは夫に尽くされ、幸せそうだった。ゾリカはその日、自分の部屋から可愛がっていた人形だけを持ち帰った。勿論ヨッシィはその成果に怒り、人形を火に焼べると、ペルラは高級時計を貢いでくれたとロマの女の肩を抱いた。それはかつてゾリカの部屋で、手相占いをした女だった。ゾリカは必死でヨッシィにすがると、自分はもっといい物を取って来るので、自分だけを愛してくれと懇願した。そして今度は父が再婚を望む資産家の未亡人、イローナの城へ行く。汚い身なりをしていても、イローナはすぐにそれがゾリカだと分かり、彼女を口汚く罵ると、ここでヨッシィとの結婚式をしてやるとゾリカに言う。今まで自分を軽蔑していたゾリカを、ロマの結婚式で皆の見せ物にしてやろうと思ったのだ。ゾリカはその後、ロマの物乞いと思ったドラゴティンに追い出されたが、その時金の時計をかすめ取り、それを使ってヨッシィに結婚を承諾させた。見物人の集まるイローナの城。ゾリカは城内の教会で神前の結婚式を希望したが、ヨッシィは取り合わない。そして<ロマは一生貞操を守る者などいない!ロマのありのままを受け入れろ>と高らかに歌い立ち去った。一人残されたゾリカは、自分の愚かさを嘆き、聖壇の前に泣き崩れた。

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