第4幕 アリマンの地下宮殿
神に祈るゾロアストルの力は暗闇の地下宮殿にも及び、アブラマーヌとエリニスは心の奥底に眠る良心の呵責に苛まれている。神官のナルバノールとゾピールが現れ、ゾロアストルの姿を見た兵士達が戦意を失っている事を報告し、光と暖かい風がこの荒野にも春をもたらし始めていると告げる。それを聞いたエリニスは「私達の栄光も復讐も永遠に終わりを告げた」と嘆き、アブラマーヌもアメリートの愛に満ちた瞳から頭が離れなくなっている。エリニスは「愛するために創られた心が怒りによって千路に引き裂かれている」と歌い、アブラマーヌとともに「ああ神よ!なんて醜い苦しみ!」を二重唱する。衰弱するアブラマーヌは最後の魔力を振り絞り、地下宮殿の青銅の二重扉を閉める。するとゾロアストルの力は封鎖され、再び復讐への力が蘇る。悪の精霊達や、神官達も息を吹き返し「最強の帝国の恐るべき執権者!踏みにじられた愛が容赦ない復讐となり、最大の悪こそ最大の喜び」と讃歌する。その中で一人エリニスだけはゾロアストルへの愛を捨て切れず、苦悩の色を濃くして行く。

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