第1幕
南イタリアはナポリの町の、とあるカフェ。若い2人の士官と、年上の友人とおぼしき老人が、激しく議論を戦わせている。老人は自称哲学者のアルフォンソ、士官はフェランドとグリエルモ。アルフォンソは、女性は本来浮気な動物で、貞節なんて信じられないと主張する。だが若い2人はフィオルディリージとドラベラという姉妹と婚約中で、老人の言うことなど信じようとしない。激昂した2人はついに決闘を申し込み、剣呑な雰囲気になる。するとアルフォンソは、女が浮気をするかしないか、ここはギャンブルで行こうと提案する。もし明日の朝までに彼らの婚約者が浮気をしなかったら2人の勝ち、反対に彼女たちが陥落したらアルフォンソの勝ちで賞金は100ツェッキーノと決まる。この部分は、男3人の三重唱である。
場面は、海を見渡す、フィオルディリージとドラベラの邸宅に変わる。2人はそれぞれお互いの婚約者の肖像を見ながら、恋する者の幸せに浸り切っている。ここは2人の二重唱。そこへアルフォンソが慌てたように登場。むごいようだが、急に2人の士官が戦争に行くことになったと告げる。それを聞いて嘆き悲しむ姉妹、そこへ旅支度をして軍服に身を固めた士官が入って来る。姉妹に取りすがられて、男たちは密かにほくそ笑むが、アルフォンソはこれからが肝心と注意する。
5人がその過酷な運命を嘆いていると、行進曲に導かれて兵士たちが登場、楽しい軍隊生活を称える合唱になる。いよいよ出発になり、ここで別れの五重唱になる。手紙を出して、浮気はしないでと願う姉妹、これを慰める2人の士官、そして腹を抱えるアルフォンソ。兵士の合唱が再び歌われ、2人の士官は船に乗って去る。残された3人は、風は穏やかに、浪は静かにと優しく重唱する。だがアルフォンソは、こういう女ほど陥落するのは早いと独白する。
再び場面は室内に変わり、小間使いのデスピーナが現れる。彼女は自分の身分を嘆きながらも、つまみ食いなどをしている。そこへ姉妹が荒れ模様の状態で入って来る。ドラベッラは、いらだつ心を激しいアリアに託する。ところがそれを知ったデスピーナは、今こそ浮気のチャンス到来と、姉妹をそそのかしにかかる。男の方はすべて移り気、女もそのお返しをしましょうと、明るいアリアを歌う。
アルフォンソがやって来て、デスピーナを金で買収して味方につけてから、2人の士官が変装した髭もじゃのアルバニア人を招き入れる。アルフォンソと入れ替わりに、姉妹が揃って現れるが、いきなり不審な2人組がモーションをかけ始めるので、彼女たちは怒り出す。そこへアルフォンソが現れて、2人のアルバニア人との再会を喜ぶふりをする。再び求愛のモーションが始まるが、毅然として拒絶するフィオルディリージは「嵐や風にもめげずに、岩がじっと動かないように、私の心は常に誠と愛に強い」と、有名なアリアを歌う。その場を去ろうとする姉妹に対して、グリエルモは大アリアを歌い、自分たちを古今の伊達男と比べながら、大いに売り込もうと務める。
姉妹が行ってしまうと、2人の士官はもう勝ったつもりで有頂天、だが老人は勝負はまだまだと牽制する。ここからいよいよ第1幕のフィナーレに突入、美しい庭園の場面で、姉妹が思いも及ばぬ運命の展開を嘆いていると、2人のアルバニア人が血相を変えて登場、恋が実らなければと毒薬を呷り、芝生の上に倒れてしまう。デスピーナとアルフォンソは、姉妹の冷たい態度を非難する。そしてデスピーナが医者を呼びに行くと、姉妹は少しは良心の呵責を感じて、びくびくものながら介抱をし始める。デスピーナが変装した医者が現れ、磁石で毒を吸い上げると称して、2人の体に磁石を当てたりする。すると士官たちはむっくりと起き上がり、またもや求愛を再開するのみか、キッスまで要求するので、姉妹たちはびっくりし憤慨する。ほかの4人は、この破天荒な芝居を楽しむのであった。
(C)出谷 啓
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