影のない女:あらすじ
東洋のとある島。白いカモシカに化していた霊界の王カイコバートの娘は、狩に来ていた皇帝の鷹に追われ捕らえられた。皇帝は美しい女の姿に戻った彼女を愛し皇后に迎えた。しかし霊界の女である皇后には影がなく、霊界の女と結婚した男は1年以内に子どもが出来ないときは石になるという掟がある。霊界の王カイコバートはあと3日で娘を取り戻せることになっている。
第1幕第1場
皇帝の庭園のテラス。夜、霊界の使者が現れ、乳母に皇后の影がまだないかと問う。乳母もまた霊界の女であった。使者が去った後に皇帝が現れ、カモシカに姿を変えた皇后を捕らえた様子と、皇后への愛を歌う。皇帝は狩に出かける。皇后は皇帝への愛を一人思うが、そこに赤いあの鷹が現れ、「皇后は影をもっていない、皇帝は石になる」と悲しげに歌う。はじめて事情を知った皇后は驚き、乳母に影を得る方法をたずねる。人間の邪悪さを知る乳母は答えに躊躇していたが、皇后のけなげさに打たれ、影を得るために二人で人間界へ下りていく。
第2場
染め物師のバラクの家。バラクの兄弟が喧嘩をしている。妻は彼らを追い出したいが、バラクは兄弟を扶養していることに誇りを持っている。バラクは子どもが欲しいが、妻はそれを断り続けている。そこにみすぼらしい姿をした皇后と乳母が現れる。乳母はバラクの妻に、魔法で豪華な家や若い男の姿を見せ、影を売って欲しいと願う。バラクの妻は承知するが、そのため二人は三日間女中として仕えることになる。乳母は魔法で五匹の魚を出して鍋に入れる。鍋の中からは「生まれていない子供の声」が聞こえる。
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