ご挨拶
いよいよ平成も最後の年となりました。私はざっくり人生の半分を昭和に生き、半分を平成に生きたことになります。その前の大正、明治はもちろん知りませんが、昨年末、日本橋の図書館に寄ったところ、鹿島茂の書いた「渋沢栄一」の本が目に止まりました。2013年の初版ですから比較的新しくよく売れている書籍のようでした。その本を何気なくページをめくっていたところ「豪商の娘、奇人の姪」というタイトルが出てきました。15ページに渡って書かれたその文章の豪商とは、幕末の豪商伊藤八兵衛、奇人とは淡島珍楽、娘とは伊藤八兵衛の娘で、渋沢栄一の後妻の兼子です。実は伊藤八兵衛は、私の4代遡った先祖なのです。そのことは生前父から聞いていましたが、私がインターネットを始めて、まずやったことが、この先祖のことをHPにして紹介することでした。今回私が調べて紹介したことが、ほぼそのまま「渋沢栄一」の本に改めて紹介されたことは嬉しい限りです。特にこの項の最後に、渋沢栄一が兼子の才能ある血筋を重視したと書かれていることはまんざらでもありません。


伊藤八兵衛(1813-1878)
平成も終わりを告げようとしています。
上記の渋沢栄一のことを新年の挨拶にしていたところ、なんと新一万円の肖像として渋沢栄一が決まったというニュースが入ってきました。それはそれで嬉しいのですが、5,000円の津田梅子の写真が反転されているという指摘がされています。私の見解では、完全にアウトだと思います。誰かが、もしも伊藤博文の写真が反転されていたらどうでしょうか?と言っていました。私も同感で、もしも天皇の写真が反転されていたら・・・許されるはずがありません。世界の笑い者です。もともと、渋沢栄一が1万円で、津田梅子がなぜ5,000円?という声もあったところで、こういうことが起こったのですから、今回の反転問題は女性蔑視とも取れます。菅官房長官は問題ないと発言していますが、財務省では、まだアイデアの段階・・・と逃げていました。おそらく修正されることと思います。
ちなみに、1908年(明治41年)帝国女優養成所開所式の挨拶で、渋沢栄一は「日本では長い間さげすまれてきた職業が三つある。商人と婦人と俳優である。商人は私達の力で何とか地位を上げることができたが、婦人と俳優はまだそうなっていない。婦人としてさげすまれ、しかもさげすまれている俳優になろうとするのである。実業家も昔はさげすまれてきだけに、同士として他人ごととは思われない」と語っています。それから100年経った今でも、女性と芸術家の地位向上は道半ばです。
2019年5月26日に日本橋オペラで「蝶々夫人」を指揮します。チラシをご覧ください。今回の公演は、政府の「明治150年」の関連施策に認定されました。
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