5月17日に鳴海真希子さんの追悼式がニューヨークでしめやかに開かれました。
リンカーンセンターのローズビルディングのスタジオで開かれたこの追悼式は、ジュリアード音楽院のジョセフ・W・ポーリージ学長、多数の教授、生徒さんをはじめ、ファンの方々、またアスペン音楽祭のスタッフの方もこの日のために駆けつけるなど、立ち見が出るほどの大勢の人が出席しました。 ジュリアード音楽院が、このように学生の追悼式を行うことは、極めてまれなことです。
追悼式はポーリージ学長のご挨拶ではじまり、次に鳴海さんの先生方の演奏、ついで数人の先生が思い出を語りました。 鳴海さんは昨年の12月、病を押してジュリアードオーケストラとマーラーの交響曲第2番「復活」を名唱しました。またそれ以外にも、アスペン音楽祭、あるいは1昨年にはタングレウッド音楽祭で小澤征爾さんと共演するなど、世界中の才能の集まるジュリアードでも文字通りトップの逸材として注目されていました。 ご挨拶の先生方も、鳴海さんを学生としてではなく、希有の芸術家として最大限の賛辞と、大げさでなく世界の音楽界の損失と語っていました。 また、鳴海さんのお父様である秀さんがご挨拶をされ、一週間後にもらう予定だった卒業証書が秀さんに手渡されました。 これは、鳴海真希子さんのニューヨークでの治療費が莫大になり、学生割引を適用させるため、ジュリアード音楽院が昨年八月に鳴海さんを再入学させたもので、この卒業証書です。
追悼式の最後に鳴海真希子さんのCDからパーセルの「夕べの賛歌」が流され、全員で故人を偲びました。
また、ジュリアード音楽院では、鳴海真希子さんの記憶をとどめるため「マキコ・ナルミ・スカラシップ」という奨学金制度の計画が進められているそうです。
なお、日本での追悼式は6月30日午後2時から東京芸大で開かれます。


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