【あらすじ】
時と所:千一夜物語の時代・バグダッド
全1幕/アブ・ハッサンの家
アブ・ハッサンが妻のファティーメに「ワインが飲みたい」と言うが、貧乏な二人にはお酒どころか明日食べるパンや水を確保するのもやっとだ。「お金が欲しい」と呟く夫にファティーメは「両替屋のオマールが、私のためなら全財産を投げ出してもいいと言ってるわ」と告白するが、愛する美しい妻をそんな奴にやる訳にはいかない。考えあぐねたハッサンは、まずは自分が死んだことにして妻がスルターンの妃から葬儀代を貰い、その後妻が死んだことにして自分がスルターンから葬儀代をせしめる…という名案を思い付いた。それを聞いたファティーメは、早速妃の所へと出掛けて行く。妻の留守中、両替屋のオマールが借金取りと共にやって来る。お金が無く困り果てているハッサンの借金を、取りあえずはオマールが肩代わりして帰ってくれたが、勿論オマールにはファティーメを手に入れたいという下心があった。暫くしてファティーメがお金を手にして戻って来ると、今度はハッサンがスルターンの宮殿へと出掛けて行く。一人残されたファティーメの所に再びオマールが訪ねて来て、借金の肩代わりをだしに彼女に迫るが、ハッサンの帰って来る気配がし彼は戸棚に身を隠す。ハッサン夫婦が大金を手に入れ大喜びしていると、突然スルターンの従者がやって来るので、ファティーメは慌てて死んだ振りをする。従者は「王と妃の話が食い違うので、夫婦どちらが死んだのか確認しに来た」と言い、横たわる妻を確認し帰って行った。すると続いて妃の侍女が同じように訪ねて来て、今度はハッサンが死んだ振りをする。侍女は嘆き悲しむ妻の姿を確認し帰って行った。その後直接真実を確かめようと、スルターンと妃が揃って訪ねて来るので、ハッサンたちは二人で死んだ振りをする。どちらの言い分が正しいか妃と賭けをしていたスルターンは「先に死んだ方を教えた者に金一封出そう」と言い、さすがのハッサンも観念。「私が知っています!」と起き上がると、全てを白状しスルターンに詫びた。スルターンはハッサンを許し約束の金一封まで与えたが、ファティーメから戸棚に隠れているオマールの話を聞くと「奴は少し懲らしめてやろう」と放っておくことにした。スルターンを讃える皆の合唱で幕となる。
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