【あらすじ】
所:バグダッド
全1幕/後宮の庭
 後宮内で奴隷として育ったアディーナは、太守に見初められ妻として迎え入れられることになった。民衆が二人の婚約を祝う中、アディーナの昔の恋人セリーモは何とか彼女を自分の元に取り戻そうと、庭師のムスタファに頼み自分も庭師として後宮内に忍び込むことに成功する。一方太守は家臣のアリに「アディーナは昔愛したゾーラという女奴隷にとてもよく似ているのだ」と嬉しそうに話す。侍女と共に現れたアディーナを残し、太守が婚礼の準備に神殿へ向かった所へ、庭師のムスタファがやって来て「貴女の恋人だったセリーモが来ています」とアディーナにそっと告げる。彼が死んでいると思っていたアディーナは驚き、「今夜後宮横の川の畔でセリーモが待っています」と言うムスタファの言葉に、どちらの男性を選ぶべきか迷う。決めかねたアディーナは太守に婚礼を一日延ばすよう頼むが、それを不審に思った太守に家臣のアリが「アディーナは庭師と何やら密談していた」と言うので、太守の疑いは益々強くなり「後宮の周囲を固めよ D'intorno il Serraglio」と歌い周囲の警戒を強める。
夜。セリーモの元を訪れたアディーナは、やはり彼の方を愛しているのだと感じ一緒に逃げることを決心し、二人で愛を語り舟を待つ。ところが舟の手配をしていたムスタファが見張りに見付かり、婚約者の裏切りに激怒した太守は二人の男に死罪を言い渡す。セリーモを救うため「全ては自分が悪い」と許しを請うアディーナを太守は許さず、彼女はその場に倒れてしまう。その時彼女の胸元から見覚えのあるペンダントが見えたので太守が手に取ってみると、それは昔愛するゾーラに贈った物だった。ペンダントには若い頃の自分の写真が入っており「父」と書かれていた。太守はアディーナが昔愛した女性との間に生まれた娘だと分かり、すぐにセリーモとムスタファの解放を命じる。
目を覚ましたアディーナが恋人の死を嘆いている所へセリーモが現れ、彼女を強く抱き締める。驚くアディーナに太守は全ての経緯を話し、自分が父である事を告白する。アディーナはセリーモと再び抱き合うと歓喜の歌を歌い、全員の祝福と喜びの合唱の中幕となる。
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