第4幕
 王宮の一室。アムネリスは、もしラダメスがアイーダを諦めて自分と結婚する意志があるなら、彼の罪を許してやろうと思い、ラダメスを廊下に呼び出し、アイーダの父アモナスロは戦死したが彼女は逃げおおせたことを知らせる。そして改めて、自分と結ばれるなら助命の嘆願をしようと告げる。だが彼は断固として拒絶するので、アムネリスは絶望してその場へうずくまり、そのままラダメスは法廷に引き立てられて行く。やがて、地下の法廷からランフィスたちの告発の声が聞こえて来る。だがラダメスはそれらに一切無言で押し通そうとするので、ついに神殿の石室に生きながら封じ込めるという判決が下る。法廷から出て来るランフィスたちに、アムネリスは狂気のように、その裁判は誤っていると叫ぶが、ランフィスは謀反は死刑だと取り合わない。アムネリスは彼らを呪うが、もはやどうにもならない。
 神殿の地下牢。生き埋めにされたラダメスは、1人で死ぬことを覚悟している。そして、ここは私の墓場だ、もうアイーダに会うこともないだろうと歌う。と、片隅に人の気配がするので、びっくりしてよく見るとそれはアイーダの姿である。彼女は追っ手を逃れて、先回りしてこの牢に入り、ラダメスが来るのを待っていたのだ。2人は天国で結ばれることを喜び、さらばこの世、涙の谷と最後の二重唱をうたう。地上の神殿ではアムネリスが跪き、永遠の平和と2人の冥福を祈る。石室の中では、先に絶命したアイーダがラダメスの腕の中に倒れかかる。しっかりと抱きしめるラダメス、巫女や司祭の歌う祈りの合唱のうちに静かに幕が降りる。
(C) 出谷 啓
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