時と場所:古代ギリシャ、テッサリア地方のペライ
第1幕
第1場 ペライ王アドメートの宮殿前広場
序曲が演奏される中、宮殿前の広場に集まった民衆が、危篤のアドメート王を案じて神への祈りを捧げる短い合唱で幕開きとなる。民衆が国王の死を怖れ、宮殿の窓を見上げると、現れた伝令官により、王の命は絶望的であることが告げられる。嘆き悲しむ民衆は「神々よ、我々の王国はどうなってしまうのか」と歌う。
第2場
アドメート王の信頼篤い廷臣エヴァントロが王女と二人の子供の登場を告げる。現れた幼い子供の姿と、悲嘆にくれるアルセスト王女の様子に民衆は悲しみを増す。アルセスト王女は「国王は、国と愛する者のために尽くしました」と歌い、民衆もこれに和し「悲運なるアドメート王」と国の行く末を嘆く。そして人々は祈りを捧げるためにアボローンの神殿に向かう。
第3場 アボローン神殿
神殿では、祭司長が「神よ、光をお与え下さい」と歌い、民衆も同じ祈りを繰り返す。
第4場
遅れて到着したアルセストが「真実の憐れみが見える」と歌い、捧げ物をお受け下さいと祈る。祭司長はアルセストの願いを神が聞き届けたと告げる。すると託宣者が「アドメート王の命を救うためには、生贄が必要である!」と宣言する。これを聞いた民衆は怖れおののき、神殿から逃げて行く。
第5場
一人神殿に残ったアルセストは「自分の命と引き換えに、愛するアドメートを救うことができるなら、それは犠牲ではない!」と死を決意する。しかし子供達の事を思うとき母アルセストの心は揺れ、絶望にくれる。アルセストは悲しみに耐え、愛する夫アドメート王のために生贄になる覚悟を決め、ついに毒をあおる。そこに祭司長が現れ「王は生き返り、太陽が昇る。しかし王女の命は終わり地獄の門が開くだろう」と告げる。アルセストは残りの毒も飲みほし、自分が犠牲になる憐れを口にはしないと名アリア「冥界の神々よ!」を決然と歌う。
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