あらすじ:
1.序曲
静かな「老ジプシーのモチーフ」で始まるや、即座に激昂する「アレコのモチーフ」が演奏される。怒りと悲しみに満ちたこのモチーフは、物語の核をなす主人公アレコの愛と悲劇のプロローグとなる。その後ハープの音が美しい「ゼムフィーラのモチーフ」が流れ、「アレコのモチーフ」が重なり合っていく。
2.合唱 川辺の野営地
ジプシーの野営地は夕食のひと時である。女も男も子供たちも湯気の立ち上る釜を囲んでいる。静かな川辺に月がのぼり、ジプシーの女たちが自由奔放な生き方を讃歌する。男たちの歌声も加わり、ジプシーの生きざまが力強く歌われる。
3.ゼムフィーラの父の物語
ゼムフィーラの父親である老ジプシーが過ぎた日々を語る。情熱と落胆を去来する豊かなバスの響きによって、娘ゼムフィーラを置いて去って行った母親とのいきさつと、以来女性を愛せなくなってしまったという悲しい恋の結末が歌われる。
4.シーンと合唱
アレコは、父親の物語を聞き「なぜ母親を殺さなかったか?」と詰問する。時は流れ、今娘ゼムフィーラによって繰り返されようとする同じ悲劇。ジプシーの自由に憧れながらも、その奔放さを理解できない文明人アレコの矛盾が悲痛な叫びとなる。ゼムフィーラと若い男のジプシーは「愛は自由で、巡り来て帰らぬもの」と歌い、それぞれの愛僧がせめぎ合う。そこにジプシーたちが割ってはいり、言い争いを止め、「楽しく踊ろう!」と合唱する。
5.女たちの踊り
クラリネットの奏でる東洋的旋律にのって、タンブリンを持った女が踊りを披露する。女たちが踊りに興じている隙にゼムフィーラと若い男のジプシーは二人で抜け出して行く。
6.男たちの踊り
ジプシーの音楽と力強いコサック踊りのリズムが繰り返し演奏される。次第に速度をあげる音楽に合わせて、男たちの踊りも激しさを増していく。
7.合唱
踊りが終わり疲れ果てたジプシーたちは「火は消え、月だけが照らす」と歌う。ユニゾンで歌われる聖歌のような旋律が、かけ合いになる。夜も更けジプシーたちは眠りにつく。
8.二重唱
踊りを抜け出したゼムフィーラと若い男の愛の二重唱。ゼムフィーラはアレコに見つかる事を恐れて、熱い若い男の求愛に応じられない。そこへアレコがやって来るので、若い男は逃げて行く。ゼムフィーラは男と会っていたことをごまかそうと、急いで自分の天幕に戻り子供を寝かせつけるふりをする。アレコは嫉妬にふるえ、その天幕の前に佇んでいる。
つづく
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