第4幕
 再び第1幕と同じ屋根裏部屋。第3幕から数ヶ月経ったある日の午後、ロドルフォは机に、マルチェロはカンヴァスに向かって、一心不乱に創作の筆をふるっているが、心はここにあらずで、お互い別れた恋人のことばかり思っている。ロドルフォは机の引き出しから帽子を取り出し、マルチェロはそっとリボンを取り出して、それぞれミミとムゼッタの面影を偲ぶ。ここは男声のみの二重唱だが、驚くほど旋律が美しい。そこへコリーネとショナールが、パンと食料品を買って帰り、賑やかな昼食が始まる。4人はふざけて舞踏会や、チャンバラごっこをしていると、突然ドアをノックする音が聞こえ、ムゼッタが血相を変えて飛び込んで来る。彼女は息を弾ませて、ミミを連れて来たけど、もう死にそうで階段が登れないという。一同が驚くうちに、ミミが運び込まれてくる。ムゼッタの説明によると、ミミはある子爵の囲い者になっていたが、やはりどうせ死ぬなら、ロドルフォに抱かれて死にたいというので、ここへ来たのだという。そしてムゼッタは、耳飾りを売って医者と薬をといって、マルチェロと出て行く。ショナールも「さらば古い外套よ」といって、自分の外套を売りに出て行き、コリーネも気を利かせて部屋の外へ出る。2人だけになるとミミとロドルフォは、激しく抱擁して昔を懐かしく思い出す。間もなくミミの容態が急に悪化すると、仲間たちも慌しく帰って来る。ムゼッタは買って来たマフをミミに与える。高価なマフ、それに薬、ロドルフォは仲間たちの暖かい友情に感謝して、声を殺して泣く。彼はミミの顔に陽が当たらないように、窓に覆いをかけに行く。するとコリーネが、ミミが既に息を引き取っているのを見つけ、マルチェロに告げる。ショナールが戻って来たとき、皆の様子が妙なのを知ったロドルフォは、ミミの死に気付いて、激しく「ミミ」と絶叫して彼女の亡骸の上に泣き伏す。(幕)
(C) 出谷 啓

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