<第3幕>
酒場前の路上
カルディヤックから買った金細工のベルトを眺めながら、士官は何か不気味なものを感じていた。なるほどカルディヤックの金細工には、不思議な魔力が宿っているように見える。陽気な歌声が響く酒場の前の路上で、士官はふいに後ろから暴漢に襲われるが、何とか身をかわし犯人は逃げる。チラリと見えた覆面の下の犯人の顔は、やはりカルディヤックだった。カルディヤックの後をつけていた金商人もその姿を目撃し、人々に「殺人犯はカルディヤックだった!」と触れ回るので、カルディヤックと娘はその場に連れて来られた。しかし士官は恋人への想いからカルディヤックを庇い「金商人こそ犯人の共犯者だ!人に罪を着せようとしているのだ!」と言うので、人々は今度は金商人を捕えて処刑せよと叫ぶ。それを見たカルディヤックが、良心に苛まれ「犯人は別にいる!」と金商人を庇うと、人々は今度はカルディヤックが怪しいのではと疑い出し「真実を話さなければお前の作った金細工を全て壊すぞ!」と迫る。カルディヤックはとうとう「自分の作品を渡したくなかったのだ…」と皆に罪を告白し、人々に「処刑だ!」と襲われてしまう。瀕死の状態になったカルディヤックは、それでも最後に士官の持っていた金細工のベルトにキスをして事切れ、士官はそんなカルディヤックを見つめながら「彼はきっと魔力に取りつかれていたのだ…」と恋人に呟いた。(幕)

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