【あらすじ】
プロローグ ドン・キホーテの部屋
錯乱して気を失ったドン・キホーテが二人の村人に担がれて、部屋のベッドに運び込まれる。村人はドン・キホーテが書物ばかり読むので錯乱するのだと考え、愛読書を暖炉にくべ始める。気がついたドン・キホーテは村人の勝手なふるまいに怒り、剣を抜いて暴れだす。驚いた村人はあわてて逃げ出していく。一人になったドン・キホーテは大切な本を眺めるうちに、幻想の世界に入って行く。部屋に霧がたちこめ、ヴェールを纏った女性が現れる。この人こそがドン・キホーテの想い人、幻のドルネシア姫である。ドン・キホーテは悪霊に囚われた姫を救おうと剣を抜き戦うが、また気を失ってベッドにたおれてしまう。そこに悪さをしたサンチョが村の女達に追われて逃げ込んで来る。そしてドン・キホーテを起こし助けを求めるので、女達は退散して行く。現実と夢の区別のつかないドン・キホーテはドルネシア姫を悪霊から救い出すために、鎧を身につけ、痩せ馬ロシナンテに跨り、サンチョ一人をお供に連れて、放浪の旅にでる。
第1幕 バルセロナ広場
町の人々が踊り賑わう広場、扇を手にひときわ美しい宿屋の娘キトリが現れる。若い男達が言い寄って来るがまったく相手にしない。そんな男達を蹴散らし若者バジルが登場する。床屋で働くキトリの恋人である。さっそうと舞を披露するバジルの気を惹こうと、キトリはさっきまで相手にしなかった男達に媚を売る。互いにじらし合いながらも、愛し合う二人はやがて抱き合いキスをする。町の人々に囲まれて、キトリとバジルの愛の踊りがはじまる。広場が喜びに包まれる中、キトリの父ロレンツォが割って入って来る。ロレンツォは金持ちのガマーシュと娘キトリと結婚させようとしているのだ。嫌がるキトリに、無理やりガマーシュを押しつけようとするので、とうとうキトリは逃げ出してしまう。一方、広場の人々は相変わらず踊りを楽しんでいたが、闘牛士達が現れ、我が物顔に町の女達にちょっかいをだすので、男達と喧嘩になる。そこにドン・キホーテの一行が到着する。女好きのサンチョもさっそく町の女達と戯れ出し、またしても男達の怒りを買い、ドン・キホーテに助け出される。争いが収まると、再び町の娘や若者たちの楽しげな踊りが始まる。父親から逃げて来たキトリとバジルも踊り出す。するとドン・キホーテは美しいキトリをドルネシア姫と勘違いし、一緒に踊ろうとキトリに近づくが、バジルに遮られる。キトリとバジルを中心に追って来たガマーシュ達も加わって、町の広場はますますにぎやかに踊りの輪が広がっていく。
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