第4幕
夕暮れ時の伯爵邸の庭園、フィガロが物陰に隠れていると、伯爵夫人とスザンナが互いに衣装を取り替えてあらわれる。フィガロは勿論、2人が衣装を取り替えていることなど知らない。夫人の扮するスザンナが待っていると、そこへケルビーノが鼻歌をうたってやって来て、スザンナだと思い込んでキッスを求めるので、夫人は困り果ててしまう。伯爵がそこへやって来て、ケルビーノを殴り飛ばす。そしてスザンナを自分の妻とも知らず、口説き始める。これをみていたフィガロは、スザンナが不倫をするならこの俺もといって、伯爵夫人にスザンナとは知らずいい寄る。スザンナは自分の夫が外に出ると、こんな調子で女を口説くのかと、逆上して殴りつける。だがそれがフィガロのからかいだと分かると、2人は結託して伯爵を懲らしめようと思いを新たにする。
すると都合良くそこへ伯爵が通りかかるので、フィガロはより大げさに口説きかける。それを目にした伯爵は、自分の浮気心を忘れて、嫉妬の余り大声で人を呼ぶ。バジリオ、アントニオ、バルトロといった取り巻きが、何事が起こったのかと集まってみると、伯爵は夫人に対して怒鳴り散らしている。皆はどうかお許しをと懇願するのだが、伯爵としては引っ込みがつかなくいい募るばかり。しかしさっきまで伯爵が口説いていたスザンナが、というよりも本物の伯爵夫人が、にっこりと笑いながら姿をみせるので、一同はここでまたびっくり仰天という次第。伯爵はこれまでの勢いはどこへやら、まさに青菜に塩の体たらく「妻よ、許せ」と、ひたすら謝るのみ。伯爵夫人は寛大にも、すべては誤解の賜物と夫を許し、一同は、さあ結婚式の大宴会を始めようと、喜びの合唱で幕を閉じる。
(c)出谷 啓
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