第3幕
刑務所のフランクの執務室。看守のフロッシュが酒を飲んでいると、独房からアルフレードの歌声が聞こえて来る。そこへフランクが帰って来るが、彼はシャンペンの酔いの余韻に浸り、ワルツのメロディを口ずさんだり、侯爵やオルガのことを楽しそうに思い出したりしているうちに、遂にソファーの上で眠りこけてしまう。
しばらくするとオルガ(実はアデーレ)が、妹のイーダとともにやって来る。彼女らはアデーレを本物の女優にしてくれるよう、シュヴァリエ(フランク)に頼みに来たのである。さすがのフランクもこれには参り、女優になるには才能が必要と諭すが、アデーレは「田舎娘の役なれば、子猫のように飛び跳ねて」と、陽気なクープレでこれに応じる。ベルが鳴るのでフランクは彼女たちを別室に隠し、ドアを開けると侯爵(アイゼンシュタイン)が入って来る。実は自分はアイゼンシュタインでと告げると、彼なら昨夜私が連行して来ましたよとフランクが言う。それを聞いたアイゼンシュタインは、愕然として酔いもさめてしまう。そこへ弁護士のブリントがやって来たので、無理矢理彼の衣装を剥ぎ取り、本物のアイゼンシュタインが弁護士に化けて偽アイゼンシュタインを尋問しようとする。そうこうしているあいだにロザリンデが入って来て、アルフレードを独房から出す手続きを始める。それを見てアイゼンシュタインは逆上、アルフレードにますます詰め寄る。仕方なくアルフレードはロザリンデとの関係を認め、身代わりに刑務所入りした経緯を語る。ロザリンデはロザリンデで、アイゼンシュタインの昨晩の行ないを非難、すると弁護士の制服を脱いだアイゼンシュタインが、本物は俺様だと正体をあらわすので、アルフレードとロザリンデの二人は仰天する。
だが開き直った彼女は、分捕った浮気時計を取り出し、これは一体何ですかと突きつける。あのハンガリーの伯爵夫人は俺の女房だったのかと、アイゼンシュタインは万事休す。そこへファルケ博士とオルロフスキーが、皮肉な笑いを浮かべてやって来る。博士はロザリンデに、これはあなたのご主人に対する、「こうもりの復讐劇」なんですよと明かす。これでようやく一同は納得し、アデーレも公爵がパトロンとなって女優になることが出来て大喜び、一同が揃ったところで、再び高らかに「シャンペンの歌」が歌われ、華やかに幕は閉じられる。
(C)出谷 啓
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