第3幕
狩猟の気分を盛り上げる、華やかな間奏曲が演奏され、いよいよクライマックスの幕が上がる。森の中では既に射撃大会が始まり、マックスもカスパールも魔弾の威力で成績は上々、仲間たちもその腕前に仰天してしまう。だがその魔弾も、それぞれ一発ずつになるが、カスパールはマックスをだまして、6発目を撃ってしまうので、後は不吉な1発がマックスの手に残る。マックスはそれを御前試合のときに、使おうと心に決めるのだった。
場面はアガーテの部屋に転じて、純白の花嫁衣裳に身を包んだ彼女は、祭壇の前に跪いて、美しい祈りのカヴァティーナをうたう。エンヒェンが来ると、昨夜みた不吉な夢の話をする。エンヒェンは相変らず笑い飛ばして相手にしないばかりか、華やいだ気分のアガーテを励ますアリアをうたう。そして花嫁の付き添いとして、着飾った美しい乙女たちが来て、名高い女声合唱曲「花嫁のために冠を」をうたう。そこへ冠を入れた箱が届けられ、一同が喜んで開けてみると、葬式用の冠だったので、全員が驚愕してしまうが、アガーテは隠者から受け取った、白いバラの花で作った冠をかぶる。
いよいよ最後は領主オトカールのテントの前の場面で、既に酒宴の用意が整えられている。そして余りにも有名な男声合唱曲、「狩人の歌」がうたわれ、狩の楽しさが称えられる。そして御前試合になり、領主はマックスに、その木にとまっている白い鳩を撃ってみよと命ずる。マックスは反射的に銃をかまえると、花嫁姿のアガーテが飛び出して、撃たないでマックス、鳩は私なのよと叫ぶ。だが鳩は木に登っていたカスパールの方に飛んで行くので、マックスは慌てて引き金を引く。すると轟然と一発、鳩はいずこへとも飛び去り、同時にカスパールとアガーテは悲鳴とともに倒れる。一同が2人のところに駆けつけると、カスパールは悪魔ザミエルを呪いながら死に、失神していたアガーテは目覚める。マックスはことの次第を領主に告げ、領主は魔弾を使おうとしたことを怒ってマックスに追放を命じる。一同はマックスとアガーテに同情して、寛大な裁きを懇願するが領主は許さない。するとそこへ隠者が現れて二人をかばうので、領主も軟化してマックスに1年間の謹慎を命じ、結婚はその謹慎明けまで待つようにという。そこで一同は神の恵みに感謝して、喜びの合唱を高らかにうたって幕が下ろされる。
(C)出谷 啓
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