時と場所:紀元前48〜47、エジプト
【あらすじ】
第1幕
エジプトの宮殿、チューザレ率いるローマ軍の野営地
チューザレ(シーザー)は、ファルサリアの戦いで打ち破ったポンペーオを追ってエジプトにやって来る。港に到着したチューザレの艦隊を、エジプト人は「我らの英雄万歳!」と歌い歓迎する。チューザレが意気揚々と登場し「エジプトは棕櫚の葉を勝者に与えよ!」と勝利宣言をし、続けて「来た、見た、勝った」をレチタティーヴォで歌う。そこにポンペーオの妻で美貌のコルネーリアと息子のセストが現れ、チューザレに和睦を申し出る。和睦を受け入れようとするチューザレのもとに、エジプト王トロメーオに仕える将軍アッキラが参上し、王からの献上品としてポンペーオの生首を差し出す。チューザレは「邪悪な者め!」と叫び、無慈悲な行為に激しく憤り、アッキラを退出させる。目の前に晒されたポンペーオの無残な姿に、妻コルネーリアは泣き崩れ「あらゆる慰めを奪われ」と歌い夫の後を追おうとするが、チューザレの腹心である司令官クーリオに止められる。息子セストは「怒りよ、心の中で目を覚ませ!」とトロメーオへの復讐を誓う。 宮廷ではポンペーオ殺害の知らせを受けたクレオパトラが弟トロメーオのエジプト統治を不服とし「クレオパトラが支配する!」と歌う。ローマの権力を握るチューザレを誘惑して味方につけようとするクレオパトラに、弟トロメーオは「女らしくしろ!」と非難する。しかしクレオパトラは「心の慰めは恋と美女に求めなさい!」と弟をやり込める。そこに将軍アッキラが戻り、ポンペーオの首がかえってチューザレの反感をかってしまった事を報告する。アッキラはコルネーリアを褒美にくれるのなら、チューザレを殺害しトロメーオ王のエジプト統治を万全のものにすると約束する。 ローマ軍の野営地では殺されたポンペーオの弔いが行われ、チューザレは「戦いに明け暮れし者、今は壺の中に」と人生の儚さを歌う。そこにクレオパトラが身分を隠し侍女リディアと名乗って現れ「暴君トロメーオに苦しめられています」と訴える。チューザレはリディアの美しさに魅了され「美しい顔!花としか比べられない」と歌い、力になる約束をする。一方悲嘆に暮れるコルネーリアは自殺をしようとするが、息子セストが「いとしい希望よこの心に」と復讐を誓い、母コルネーリアの自殺を思い止まらせる。その様子をうかがっていたクレオパトラはセストにも近づきトロメーオ暗殺を持ちかける。そして「おまえは私の星」と歌いエジプト支配に野心を燃やす。 宮殿を訪れたチューザレはトロメーオ王の下心を見抜き「心やましい者は静かにこっそり歩くものだ」と歌い警戒するが、女好きのトロメーオは同行した美貌のコルネーリアの虜となってしまう。トロメーオに刃向うセストは牢獄につながれ、アッキラは「息子を助けたければ俺の女になれ」とコルネーリアに迫り「心から愛する人」と歌うが、ローマ人の誇り高きコルネーリアは唾をはきかけ決然と拒否する。引き離される母子は「涙するために生れ、溜息をつくために生れた」と悲痛な思いを歌い、二度と晴れやかなる日は訪れないと嘆く。

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