<第3幕>
第1場 ノンサッチ宮殿
宮廷ではエセックスのアイルランド制圧の失敗がしきりに噂されている。そこにエセックスが現れ「緊急で女王に謁見したい」と告げ、女官達の制止を振り切り、女王の寝室に飛び込んでいく。女王はまだ下着姿で古いガウンをはおり、白髪混じりの頭には鬘も付けていなかったので、急なエセックスの帰還に驚き、理由を質す。そして不甲斐ないエセックスの言い訳を叱咤するが「食事でもとって一休みなさい」とエセックスを退席させる。身支度を整えた女王のもとにセシルが現れ「エセックスはアイルランドの制圧に失敗し各国の脅威が迫っています」と警告する。女王は「これ以上エセックスを信頼することは出来ない」とセシルの進言を聞き入れ、エセックスを監視下におくことを決断する。
第2場 ロンドン市街
数人のロンドン市民が「自宅監禁となっているエセックス伯が我々の助けを待っている」と噂している。エセックスの側近が群衆に向かい「女王は自らの言葉を裏切ったが、女王を救えるのはエセックスだけなのだ!」と反乱を呼びかけている。盲目のバラッド歌手が事件の成り行きを吟じる。
第3場 ホワイトホール宮殿
宮殿ではエセックスの公判が行われていた。エセックスは反逆罪で死刑を宣告され、入廷した女王に判決が報告される。しかしながら女王はすぐにその判決を承諾しようとしなかった。そこにエセックス夫人とペナロペ、マウントジョイが入廷し、寛大な措置を懇願する。悲しみと慎みに満ちたエセックス夫人のアリアが歌われ、女王は慈悲深く受け入れる。しかし姉ペネロペがエセックス恩赦の正当性を要請すると、女王は「不遜だ!」と激怒し、死刑執行許可のサインをしてしまう。ペネロペは叫びながらマウントジョイの腕の中に倒れ込み、エセックス夫人とともに退出する。
エピローグ
暗闇に立つエリザベスの耳にエセックスの声が響き「女王への目通りもかなわない今、私の罰と、惨めな人生を一刻も早く終わらせることこそ最後の望みです」と語りかける。疲れを見せる女王にセシルは就寝を勧める。エリザベスは「私はいつも国民を思い、最後の審判を下し続けてきました。私の王冠に輝く宝石は国民の愛より他になく、私の唯一の願いは、イングランドの繁栄です」と語る。国民の歓声が聞こえてくる。エリザベスは側に立つセシルに「もはや生に執着する意味も、死を怖れる意味もない」と告げる。セシルは女王の長寿を願い退席する。一人になったエリザベスの脳裏に、リュートの弾き語りで女王を慰めたエセックスの甘い歌声が蘇る。静かに「グリーン・リーヴズ」の合唱が女王を讃える。幕
RETURN
オペラ名曲辞典TOP