【あらすじ】
第1幕 ヘンリー8世の王宮広間
王宮に集まって歓談する廷臣達。スペイン大使着任の挨拶に来たドン・ゴメスに、旧知のノーフォーク公爵が声をかけてくる。昔話に花が咲き、上機嫌のドン・ゴメスは美女の誉れ高いアン・ブリンと恋仲であることを告げる。するとノーフォーク公爵は残虐な暴君、ヘンリー王がアン・ブリンに夢中なので、用心するように警告する。しかしドン・ゴメスは、アン・ブリンとは手紙で永遠の愛を誓い合ったと歌う。その時、王の旧友であったバッキンガム公爵が反逆罪の濡れ衣を着せられ、死刑宣告を受けたとの知らせが届く。緊張が走る宮廷にヘンリー王が登場し、ドン・ゴメスは謁見する。王はドン・ゴメスに、スペイン大使着任とアン・ブリンとの恋を祝福する。しかし謁見が終わるや、王はアン・ブリンへの苦しい恋心を、アリア「王でさえ支配する恋!」で独白する。そして王妃キャサリンに、新しい女官としてアン・ブリンを紹介し、さらには公爵夫人の称号まで与え、女官頭に任命する。キャサリンは王がアン・ブリンを愛していることに気付き、「ローマ・カトリックでは離婚は認められない!」と責めるが、王は公然と「兄の未亡人であったキャサリンとの婚姻は無効だ!」と断言する。夫の裏切りに絶望するキャサリン。一方アン・ブリンは、王の激しい求愛と嫉妬に怖れおののく。三者の心の闇が叫び合い、地獄の釜の蓋が開けられる。
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