第3幕
入江に、ダーラントのノルウェー船と見知らぬオランダ船が停泊している。ノルウェー船の水夫達が船上で飲めや歌えと大騒ぎをしていると、娘達が食べ物を持ってきた。彼らはオランダ船に一緒に飲もうと誘うが答えはない。そのうちにわかに雲行きが怪しくなり、嵐になるとオランダ船が点灯し、炎に照らされた船員が幽霊のように見え、歌声が聞こえる。ノルウェー船の水夫達も対抗して歌うが、オランダ船の船員の合唱に圧倒され、一同気味が悪くなり逃げ去る。そこへゼンタと彼女を追ってエリックがやってくる。エリックはゼンタに、かつて自分に愛を誓ったときのことを思い出させようとする。それを物陰で聞いてしまったオランダ人は「これで終わりだ。救済は永遠に失われた」と絶望の声を上げる。そしてゼンタに、自分こそは人々の恐れる「さまよえるオランダ人」であることを告げ、船に駆け戻り出航する。追いすがるゼンタ。ゼンタは海岸の岩の上に登り、オランダ人に対し終生の貞節を誓い、海に身を投げる。同時にオランダ人の船も砕けて沈没する。やがて船の破片漂う海に、二人の浄化された魂が昇天していく。(幕)
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