【基礎データ】
皇帝に捧げた命
A life for the Tsar
イヴァン・スサーニン
Ivan Susanin
作曲:ミハイル・イヴァノヴィッチ・グリンカ
Mikhail Ivanovich Glinka(1804~1857)
台本:エゴール・フョードロヴィッチ・ローゼン男爵/the baron Yegor Fyodorovich Rozen、ウラディミール・ソログプ/Vladimir Sollogub,ネストール・クコリニク/Nestor Kukolnik,ヴァシリイ・ジュコフスキイ/Vasily Zhukovsky,ロシア語
原作:アレキサンダー・プーシキン/Alexander Pushkin(1799~1837)、イヴァン・スサーニン伝説に纏わる叙事詩より
初演:「皇帝に捧げた命」1836年12月9日、サンクト・ペテルブルグ/Saint Petersburg,石の大劇場/The Grand Stone Theatre。新台本「イヴァン・スサーニン」1839年2月21日、モスクワ/Moscow,ボリショイ劇場 Bolshoy Theatre
演奏時間:序曲9分、第1幕25分、第2幕8分、第3幕36分、第4幕37分、第5幕15分、合計約2時間10分
2Fl,2Ob(EH),2Cl,2Fg/4Hr,2Tp,3Tb,(Ophicleide)/Tim/Pf(Hp)/Str/Banda
概説:この作品はグリンカにとって最初のオペラであり、また西洋のオペラと肩を並べ、海外上演(プラハ、1866)を果たした初のロシア語のオペラとして、音楽史上における意義は大きい。イタリアから帰国したグリンカは、友人で皇子(後のアレクサンドル二世)の家庭教師をしていた大詩人ヴァシリイ・ジュコフスキイに、ロシア語のオペラ構想を持ちかけた。意気投合したヴァシリイは、一介の小作人イヴァン・スサーニンがロマノフ王朝ミハエル皇帝のために命を投げ出した英雄伝をテーマとして提案し、エピローグを書いた。その後を引き継いだエゴール・ローゼン男爵(王位継承者の秘書)は既成のスサーニン伝説に基づき台本を練り上げ、ソログフやコクリニクよる寄稿を加え、国民の忠誠心を鼓舞する国家的イデオロギーの讃歌として「イヴァン・スサーニン」を誕生させた。リハーサルを見学したニコライ1世の命で「皇帝に捧げた命」と改名され、初演は大成功を収める。そしてソヴィエト時代には「イヴァン・スサーニン」の題名に戻されゴロテツキーの新しい台本により、社会主義讃歌として上演されるようになった。歴史に翻弄されながら国家へ捧げ続けられたこのオペラは、哀愁を帯びたロシア民謡を素材にし、それを芸術の域に高めた優れた音楽作品として時代のイデオロギーを超え現代人の心にも響いてくる。
by MI
最終更新:2009年11月10日


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