【あらすじ】
時と場所 12世紀、シチリア
あらすじ
第1幕 パレルモのビザンチン建築によるカトリック教会
沈みゆく太陽が最後の光を残す薄暗い教会の中で、金モザイクと司祭たちの贅を凝らした祭服だけがきらきらと光を放っている。聖堂を埋め尽くす大群衆は跪き、こうべを垂れたまま身動きもせず祈りを捧げている。女助祭は修道女達の中央に立ちつくし、金の衣装に身を包んだ大司教は祭壇に立っている。聖職者や奉仕の人々は聖堂の支柱の傍に佇み、動いているものと言えば銀のつり香炉の静かな揺れだけである。そこにロゲル王2世がロクサナ王妃とアラビアの賢者エドリシを伴ってミサに現れる。大司教と女助祭は、このところ民衆の心を惑わせている羊飼いの説く教えについて報告し、異教徒の弾圧を願い出る。ロクサナ王妃とエドリシは今ここで審判を下さずに、まず羊飼いの話を聞くべきだと提案する。ロゲル王の命令で宮殿にやって来た羊飼いは並はずれた美貌を持ち、愛と美と自由を解き始める。するとロゲル王は次第に羊飼いの歌に心地よさを覚え、キリスト教徒しての信念が弱まって行くのを禁じ得ないのであった。ロクサナ王妃は恍惚と歌い、羊飼いに魅了されて行く。その様子を目の当たりにしたロゲル王は羊飼いに死刑宣告を下し、大司祭や女助祭らも処刑を求める。しかし再考を訴えるエドリシの進言を聞き入れ、ロゲル王は羊飼いに今夜宮殿に出向き、裁きを受けるよう言い渡す。

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