第3幕 シアキューズの古代円形劇場
円形劇場正面右手から中央に横並びの石の椅子が並び、抜けるような青い空が広がっている。僅かな煙と、手向けられた花がほんの少し前に生贄の儀式が行われたことを窺わせている。そこに羊飼いとロクサナ王妃を追ってロゲル王とエドリシが到着する。ロゲルが大声でロクサナ王妃を呼ぶと、遠くから王妃の返事が聞こえてくる。間もなく王妃が現れ「唯一信じられるもの、そしてロゲル王を全ての問題から解き放つことが出来るものは羊飼いの教えだけです。」と告げる。ロクサナ王妃に促されてロゲル王が生贄の火を灯すと、炎は突然燃え上がり、中から羊飼いの真実の姿、美と自由の神ディオニュサスが現れる。そしてディオニュサスとロクサナ王妃の歌声が響き渡り、やがて二人が姿を消すと、人々も踊りながら後を追い去って行く。しかし再びとり残されたロゲル王にもはや迷いはなく「エドリシ!私は深い孤独から解き放たれ、カモメのような白い翼で青く広がる海を越えて行く。」と歌う。ロゲル王は威厳に満ちた様子で、登りくる太陽に手を伸ばすのであった。〈幕〉
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