第3幕 ローザ・ママイ家の大広間
村人達はフェデリコとヴィヴェッタの婚礼準備に忙しい。乙女達は花を飾り、合唱「真白い百合を」を歌い踊りながら出て行く。フェデリコはヴィヴェッタに改めて愛を誓い、手をとりあって出かけて行く。しかし幸せな婚礼の準備の時は打ち砕かれる。アルルの女を取り戻そうとかつての恋人メティフィオが現れ、老羊飼いバルダッサーレの忠告も聞かずに、今夜無理にでもアルルの女をさらって行くと告げる。いつの間にか戻っていたフェデリコは、アルルの女の恋人であったというメティフィオを見ると、常軌を逸して襲いかかる。ローザは息子を守ろうと乱闘に割って入り、バルダッサーレはメティフィオを引き離し連れ出す。フェデリコを部屋で休ませ戻って来た母ローザは、いまだ癒えぬ息子の心の傷の深さに死を予感し、「ありったけの愛で育てた息子に、もしものことがあったら、自分も地獄へ行くだろう」と、苦しい母親の胸の内をアリア「母は地獄にいて」で歌う。やがて夜が明けるころ錯乱状態のフェデリコは幻聴でメティフィオに連れ去られるアルルの女の悲鳴と、馬駆けるひづめの音を聞く。そして愛するアルルの女を助けようと納屋の階段を駆け上がって行く。必死に引き留める母ローザと恋人ヴィヴェッタの叫びも届かず、フェデリコはついに高い納屋のバルコニーから幻聴を追って飛び降り絶命する。幻の女を追うフェデリコの叫び、気絶する母ローザ、泣き崩れるヴィヴェッタ、緊迫したフィナーレは力強い金管楽器による「フェデリコの嘆き」で悲劇の幕となる。
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