第2場/男の子の家の庭
 猫の後を追って庭に出た男の子が木に寄りかかろうとすると、木は昨日男の子に傷付けられた所が痛いと唸り出す。すると庭にいた虫や動物たちも集まってきて、口々に男の子を責め出した。既に捕まえ針を刺してしまったトンボの恋人は、僕の彼女は何処だと聞いてくるし、こうもりや雨蛙は家族を捕まえることに対し激しく非難した。籠から逃げたリスは、自由のない世界がどんなに辛いかを歌った。見る見るうちに男の子の周りは虫や動物たちでいっぱいになり、そのうち互いに愛し合い、庭は愛に満ち溢れた場所となった。男の子はふいに疎外感を感じ、寂しさから「ママ!」と叫んだ。その声に我に返った動物たちは、今度は先を競って男の子を罰しようと喧嘩になった。争いの中、怪我をしたリスを見て、男の子は心の中に「可哀想」という優しい感情が芽生え、自分のリボンでリスの手当てをしてやる。そしてその後、疲れ果ててその場に倒れてしまう。男の子の優しい行動に気付いた動物たちは、本当の彼はいい子なのかもしれないと思い、「ママ!ママ!」と男の子の言っていた言葉を真似して叫びながら、彼を家の側まで運び去っていった。目を覚ました男の子は、優しい月の光が照らす中ゆっくりと立ち上がり、家の方に向かって「ママ!」と呼びかけた。(幕)
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