第2幕 第1場 フィリッポの家の前
なんとかネンチョを取り戻そうと、一計を案じたヴェスピーナが老婆の扮装で現れる。そしてフィリッポ親子に近づき「不実な娘婿のネンチョが私の娘をたぶらかし、挙句の果てに捨てたのだ」と告げる。驚いたサンドリーナの口から叫び声が漏れる。さらに老婆になりきったヴェスピーナは年寄りの悲哀を並べたて「わたしゃ、膝がはれちまってね」と歌う。サンドリーナは「金にものを言わせて好き勝手なふるまいをする男より、貧乏でも誠実な人がいいわ」と憤慨する。一方フィリッポは「財産に目がくらみ、既婚の男を大事な娘に選んでしまった」と動揺する。すっかり怒ってしまったフィリッポ親子の所に、何も知らないネンチョがやって来る。フィリッポはネンチョを見るなり、激しく攻め立て、「サンドリーナと結婚するつもりだったのか」と歌い「結婚の話はご破算だ」と宣言する。事情が飲みこめないままネンチョが一人立ちつくしていると、ヴェスピーナが今度はドイツ人の下男に扮して現れる。ドイツ訛りの下男は、主人のリッパフラッタ公爵とサンドリーナ嬢の結婚式が行われることを告げ「飲むよ、お酒、楽しくね」と歌う。その話を聞いて、突然破談された理由を知ったネンチョは、抗議しようとフィリッポの家の戸を叩こうとする。その時リッパフラッタ公爵に扮したヴェスピーナが現れ、ネンチョに「サンドリーナとの結婚は嘘で、屋敷の台所で働く下男にくれてやるつもりだ」と耳打ちする。それを聞いたネンチョは復讐できると大喜びで「愚かなフィリッポのひと泡吹くところが見たい」と結婚式の公証人役を買って出る。そして「ああ、復讐を味わうために!」と歌う。全てが計画通りに運ぶのを見届けたヴェスピーナはナンニの所に行き「網を広げて餌をまき」と歌い、注意深くやれば一羽ではなく、二羽の鳥を捕まえられると喜ぶ。
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