【あらすじ】
時と場所:ローマ神話時代、クーマ。
第1幕 ディアーナの神殿と森
クーマの人々は、妖精のいたずらで狩りの女神ディアーナの怒りを買い、『毎年、運命的な愛で結ばれた恋人二人の生贄か、勇気ある者の犠牲の死を海の怪物に捧げなければならない』という掟に縛られていた。儀式を司る悪神官メリベーオは、生贄になる二人を探し続けていた。儀式の日が近づき、村人は神殿にディアーナの慈悲を祈り、メリベーオが想いを寄せるアマランタは、鳩のつがいをディアーナに捧げた。そのアマランタは、弟のリンドーロが魅力的な女性チェーリアと出会い恋をしたこと、そしてその弟が妖精ネリーナに追い回され、別れたがっていることを悪神官メリベーオに相談して、力を貸してあげて欲しいと頼む。メルベーオはアマランタが自分の恋心を利用しているとも気付かず、喜んで頼みを引き受ける。
そこに変人のペッルッケット伯爵が野獣に追われて逃げ込んで来る。突然現れたペッルッケットは魅惑的な瞳のアマランタに魅かれ、野獣から逃げることも忘れて口説きにかかる。アマランタもその気になり、二人は恋人のようにふるまいはじめる。あまりにも唐突にアマランタを奪われ、メリベーオは途方にくれる。
一方庭では妖精ネリーナがフィレーノに出会う。フィレーノは恋人フィッリデが毒蛇に噛まれて死んだと思いこみ悲嘆にくれていた。妖精ネリーナは、彼女が思いを寄せるリンドーロがチェーリアという女性に心変わりしたことを嘆き、辛い胸の内を打ち明ける。それを聞いたフィレーノは恋人を失った痛みを共有するネリーナに同情して、リンドーロとチェーリアを別れさせると約束する。(この時フィレーノはチェーリアと名乗るその女性こそが、自分の恋人フィッリデだとは未だ知らない。)フィッリデは真実愛し合う二人が、怪物の生贄になるという村の掟を知っていたので、愛するフィレーノの命を守るために名前を変えていたのだ。
森の中でフィッリデは羊を連れて恋人フィレーノを捜していたが、疲れ果てて眠ってしまった。そこに妖精ネリーナに連れられ、フィレーノがチェーリアを訪ねてきた。
フィレーノはチェーリアと名乗っていたのは恋人フィッリデであることを知り、愛する人が生きていたことを心から喜ぶ。彼は運命的な恋人を待ち受ける絶望の掟を知らないのだ。生贄を捜す悪神官メリベーオの存在に気がついたフィッリデはつれない態度を装うが、真意を汲み取れないフィレーノはフィッリデが心変わりしたと誤解して怒り悲しむ。フィッリデの芝居を見抜いているメリベーオは、フィッリデに、愛するフィレーノと生贄になるか、リンドーロと一緒になるかという残酷な選択を迫る。そこに荒くれ者の森の神サテュロスが妖精ネリーナを追って乱入し、フィッリデをさらってしまう。
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