第4幕
第1場/荒地
ヘンリーがキャサリンの裏切りに絶望している所へ、鍛冶職人仲間とラルフがやって来る。ラルフは何とかヘンリーの誤解を解こうと「馬車に乗って宮殿へ行ったのはキャサリンではない!私の見間違いだった」と訴えるが、ヘンリーはまるで信じず、挙句の果てには「お前たちは公爵の味方に付いたのか!」と、仲間まで疑う始末…。とうとうヘンリーは「誰が正しいかを決闘で決めよう!」と言い出した。「彼は既に冷静な判断がつかなくなっている」と説得を諦めたラルフは、全てを神に任せようと覚悟を決め、この決闘を受けることにした。職人の一人が「ではラッパが鳴るのを合図に、決闘を開始する」と言い立ち去った。
一人残されたヘンリーが「決闘の相手があの公爵ならいいのに…」と呟いている所へ、今度はキャサリンが現れた。彼女は恋人に信じてもらえない悲しさから生きる気力を失い、焦点の合わない目でふらふらとヘンリーに近付くと「最後にどうしても私の身の潔白を、貴方に聞いてほしいのです」とすがるように訴えた。ヘンリーはもう遅いと言わんばかりに「ラッパの音が聞こえる!君の名誉をかけての決闘が始まるんだ。傷心の僕はきっと負け、ラルフが君の潔白を証明することだろう!」と言うと、足早に走り去った。余りのショックにキャサリンはその場で気を失ってしまう。
第2場/キャサリンの家の前
今日はヴァレンタイン・デー。街の至る所で恋人たちが愛を語り合っている。そんな中、ロマの女王マブがキャサリンの家を訪ねて来た。マブは自分のせいで多くの人を不幸にしてしまったと、軽はずみな行動を後悔し、キャサリンを救うためにやって来たのだ。ロスシー公爵にも全てを告白し、ヘンリーたちの決闘も公爵に止めてもらっていた。ところが表に出て来たキャサリンは、既にショックで気が触れていて「ヘンリーはヴァレンタイン・デーの今日死んでしまった!」と嘆くばかり…。まるで話ができない。父親のサイモンは「もう私が誰なのかも分からなくなっているんです」と涙ぐんだ。するとマブは「私に任せて!」と言うと、外にキャサリンをおいたまま家の中へ入って行った。
一方全てが誤解だったと分かったヘンリーは、逸る気持ちでキャサリンの許へとやって来た。ところがいくら愛の歌を歌っても、キャサリンは応えてくれない。すると家の中からキャサリンに変装したマブが現れ、キャサリンの代わりに愛の歌を歌い出した。その歌声を聴いた途端、キャサリンは正気に戻り「あれは私ではありません!貴方の愛するキャサリンはここにいます!」と叫んだ。ヘンリーとキャサリンは見つめ合い愛の二重唱を歌い、ヘンリーがキャサリンの胸にそっと花のブローチを着けると、二人は固く抱き合った。二人の「ヴァレンタイン・デーに結婚を誓う」という念願も叶い、皆の祝福の中幕となる。
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