第5幕 ボレの洞窟
北風の神ボレが登場し、地下に渦巻く風の精霊に向かい「私に従え、陰鬱な洞窟を出るのだ!」と歌う。しかし風の精霊は地を揺るがすほどに吹き荒れたことで咎められるのを畏れている。そこにボレの息子達に連れられてアルフィーズがやって来る。ボレは「息子のどちらを選ぶのか」と迫るが、アルフィーズは「王座より命より大切な愛に捧げたこの心に憎しみを植え付けないでください」と訴える。激怒するボレの残忍な拷問に苦しむアルフィーズの元に、愛の矢に導かれたアバリスが乗り込んで来る。ボレ達は「彼女の苦しみはお前のせいだ!」と詰め寄り、アバリスを殺そうとする。しかしアバリスが「尊大な者達よ、私の復讐はお前達の怒りの激情を鎮めることだ」と告げ愛の矢をかざすと、ボレ達は抗うこともなく静まって行く。その時ついにアポロンが降臨し、暗闇の世界に光が差し込む。一同天を仰ぎ「何という栄光。光の神が新しい道を拓かれた。荒れ果てた地に降り立つために」と讃歌する。アポロンは「アバリスは我が息子であり、母親はボレの血筋を引く精霊だ」と明かし、王位を与るよう告げる。ボレはこれを受け入れ、二人の結婚を祝福する。するとアポロンは「闇に支配された陰鬱な地に私の光明が失われることなく輝き続けよ」と言い残し天に帰って行く。アバリスとアルフィーズは抱き合い「なんて心地よいこの瞬間」と愛の勝利を二重唱する。続いてアバリスは「愛は人生をどんなに美しくすることか」と歌い、二人の愛を祝福して盛大なコントルダンスが披露され幕となる。
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