<第2幕>
序曲/第1幕と同じように外幕だけが上がる。男女のコーラス役(語り手)が事件の社会的背景を語る。
第1場/ルクリーシアの寝室
女性コーラス役の子守歌が流れる。ターキニアスがルクリーシアの寝室に忍び込み、彼女にキスをする。彼女は夫と思いこんでいたが、目を覚まして見るとターキニアスと気が付き、激怒する。激しい二人の対話が始まり、必至に抵抗したルクリーシアだが、ついにターキニアスに押し倒される。内幕が下ろされ、激しい間奏曲が始まる。男女のコーラス役が、貞操が罪深き者に襲われるときのキリストの悲哀と、聖母マリアの純潔によってキリスト教徒に与えられた慰めについて語る。
第2場/ルクリーシアの家
何事も知らない乳母ビアンカと侍女ルシアが、すがすがしい朝の歌をうたっている。ルクリーシアが登場し、彼女はターキニアスとの事でヒステリックになり、夫のコラティナスを呼ぶようにルシアを使いに出す。ビアンカの話を聞いたコラティナスは状況を理解し、急ぎ帰宅する。ルクリーシアは紫色の喪服で出迎える。コラティナスは妻の涙ながらの訴えで許そうとしたが、彼女は突然隠し持っていたナイフで、自分を刺して自害する。悲願にくれるコラティナスのそばに、同伴してきた友人のジュニアスが「エトルリアの暴君どもの正体をいまこそ知るべきだ」と叫ぶ。ルクリーシアを中心にひざまづき、パーセル風のバッソ・オスティナート(固執低音)を持つフィナーレの六重唱となる。男女コーラス役は「古来大いなる愛は、時として運命の手によって汚された。いま、われわれは言葉と意味とでそれを悲劇としてご覧にいれた」と結びの言葉を歌う。(幕)
※バッソ・オスティナートとは、一定のリズムをくり返す低音。
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