【あらすじ】
時と場所:1922年、プラハ、コレティナーの法律事務所、舞台、ホテルの一室
第1幕 コレナティーの法律事務所
弁護士コレナティーの助手ヴィーテクが忙しく働いていると、依頼人のアルベルト・グレゴルが先祖から受け継いだ、100年にも及ぶ訴訟の判決を聞きに現れる。そこにヴィーテクの娘クリスティーナが興奮して入ってくる。たった今観て来たオペラ歌手エミリア・マルティの歌と美貌に魅了され、父親に報告に来たのだ。すると偶然にも、弁護士のコレナティーが噂のマルティ本人を連れて登場する。驚いたことにマルティは、グレゴルの100年も続く裁判について聞きたいと言うので、コレティナーが説明を始める。
その概要は、1827年子供のいないヨゼフ・フェルナンド・プルス男爵が遺言を残さずに死亡し、男爵の父方の従弟が全遺産を相続した。しかし母方の従弟も相続権を申し立て、更に遺産の一つであるロウコフ領地権については、フェルナンド・グレゴルという人物が「ヨゼフ男爵から生前領地権を約束された」と主張した。それに対して、プルス家は「その内容を示すヨゼフ男爵の遺言は無く、男爵は死に際にマッハ・グレゴルなる人物にロウコフ領を与えると言い残したが、マッハ氏とフェルナンドは別人である。」と反論した。以後100年間決定的な証拠も見つからず、プルス家とグレゴル家の裁判が続いているというものだった。すると不思議な事に歌手マルティは「ヨゼフ男爵はエリアン・マック・グレゴルというオペラ歌手と愛人関係にあり、二人の間にフェルナンド・グレゴルが生れた。マッハと言うのは聞き違いで、正しくはマック・グレゴルである。そして証拠の遺言書はプルス家の書類棚に書簡とともに保管されている」と語る。証拠がなければ駄目だと話を信じない弁護士コレナティーに、依頼人グレゴルはプルス家に出向き遺言書を探し出すよう命じる。
コレナティーが出て行くと、敗訴を覚悟していたグレゴルはマルティの情報提供に感謝する。するとマルティは何故かグレゴルの幼小名を呼び子供扱いする。不思議な魅力に満ちたマルティに、グレゴルは恋に落ちたと告白するが相手にされない。そればかりか、プルス家には遺言書とともに、ギリシャ語の封印書があるので、持って来て欲しいと頼まれる。グレゴルが戸惑っていると、コレナティーが遺言書を見つけ、訴訟相手のプルスを伴い戻ってくる。プルスはフェルナンド・グレゴルが、ヨゼフ男爵の息子であるという証拠がなければ遺言書は無効だと主張する。マルティは出生証明書を送る代わりにプルス家の書類棚にあるギリシャ語の封印書を要求する。
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