第3幕 ホテルの一室
翌朝、マルティはプルスと寝室から出てくると、約束通り封印書を受取るが、プルスはマルティの色仕掛けに惑わされた自分を後悔している。そこに使いが来て、マルティと父親の関係を知ったヤネクが自殺したと告げる。衝撃を受けるプルスをよそに、マルティは顔色一つ変えず髪をとかし続ける。するとまた昨日の老伯爵ハウクが現れ、マルティと一緒にスペインへ行く約束があると言う。驚いたことにマルティも同行の意を示す。その時グレゴル、コレナティー、ヴィーテク、クリスティーナ、医師が入ってくる。ハウクは医師に連れ出される。そして弁護士コレナティーは、先日マルティから送られた出生証明書にあった男爵の愛人エリアン・マック・グレゴルの筆跡と、先日マルティがクリスティーナにあげたサインとが同一だったことから、あの証明書は偽ものだと迫る。マルティは全てを打ち明ける前に身支度をすると奥に入る。その間にマルティの所持品を調べるコレナティーたちはエリナ・マクロプロス、エリアン・マック・グレゴル、エウヘリナ・モンテス、他多数のE.Mの頭文字のついた書類や品物をみつけだす。そして全てがエリナ・マクロプロスの手紙の筆跡と一致することを発見し混乱する。着替えを済ませたマルティがウィスキー片手に現れ、コレナティーの質問に答え始める。本名はエリナ・マクロプロス、クレタ島出身、1575年生まれの337歳。父親は皇帝ルドルフ二世の侍医で、不老長寿の薬作りを命ぜられた。薬が出来あがると皇帝は、まず侍医の娘である自分に薬を飲ませた。私は1週間も眠り続け、父親は詐欺罪で牢につながれてしまった。その後目を覚ました私が、既に長寿を得ていることを確かめるすべがあるはずもなく、私は薬の処方箋を持って逃げだし、以後名前を変えて世界中を放浪した。ある時ヨゼフ・プルス男爵と恋をし、フェルナンド・マクロプロスつまりフェルナンド・グレゴルを産んだ。ここにいるグレゴルは私の玄孫であると話す。一同は信じることが出来ずマルティの正体を追及する。しかしマルティはエリナ・マクロプロスであると主張し続け、次第に衰弱していく。もうろうとした意識の中でマルティの言葉はギリシャ語混じりになり「300年の命は全ての意味を失わせ、限りがある命こそ価値がある事を悟った。先ほどプルスから受け取った封印書がマクロプロスの処方箋だが、もう必要はない」と話す。そしてクリスティーナにヤネクを死に追いやったことを謝り処方箋を渡し「これを飲めばマルティのような大歌手になれる」と告げる。一同は受取を拒否し、クリスティーナがマクロプロスの処方箋を火にくべる。赤く燃え上がる炎があたりを照らしマルティは長すぎた人生を終え、幕となる。
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