仮面舞踏会
時と場所:17世紀の末(原作では1792年)イギリス植民地ボストンとその郊外(原作ではストックホルムとその郊外)
あらすじ
第1幕:
 アメリカ・ボストンの総督官邸の広間、総督の伯爵リッカルドを讃えて、側近や貴族たちが朝の挨拶に訪れている。だが彼を快く思わないトムやサミュエルもいて、総督に対する恨みを囁く。そこへリッカルドが登場し、代議員たちの挨拶を受けているところへ、オスカルが舞踏会の招待状の名簿を持って来る。彼はその中に親友のレナートの妻、アメリアの名前をみて心をときめかす。そして「もう一度彼女に会える」と、秘めたる心をアリアに託す。入れ替わりにレナートが姿をあらわし、総督の悩ましい様子をみて、謀反に対する心痛と思い違い、「あなたの生命には」のアリアをうたう。オスカルの取次ぎで判事が報告に来て、ウルリカという黒人の女占い師が、良からぬ予言をして人心を惑わせていると告げる。するとオスカルは、「黒い顔が星を見上げるとき」と、ウルリカの予言は素晴らしいと讃美する。総督はそれでは皆で変装して、実際に彼女の予言を聞いてみようと提案する。オスカルは喜び、レナートは危険はないかと心配し、謀反人たちはいよいよ復讐のときが来たと、それぞれが心のうちを告白して、大コンチェルタートに発展する。
 深夜、ウルリカの家に場面は移る。彼女は赤々と燃える火を前にして、怪しげな魔術の呪文を唱える。船員のシルヴァーノが入って来て、手相をみてくれと願い出る。ウルリカが金と地位が手に入ると予言すると、漁師に変装した総督が紙切れに、辞令と金を包んでそっと彼のポケットに入れる。それを見つけたシルヴァーノは、ウルリカの予言の確かさに驚く。そこへアメリアがあらわれ、不倫の恋を忘れられる薬をくれと頼む。ウルリカは刑場に生える草を摘み取ってくるようにいい、アメリアは恐ろしさに怯えながらも、それを取りに行くのを決心する。総督はこれを見て感動する。総督もバルカローレをうたって、「恋人が忠実に、私を待っているか」と、手相をみて貰う。ウルリカは、あなたは親しい者の手にかかって死ぬと予言する。総督はそれを聞いて「冗談だ、戯言だ」と笑い飛ばすが、ウルリカは「最初に握手した者に殺される」と答える。総督は全員に握手を求めるが、誰も手を出さないし、謀反人たちも肝を冷やす。だがあらわれたレナートは何も知らず、総督の出した手を握るので、全員がびっくりする。彼が私を殺すはずがないと、総督は笑い飛ばしてウルリカに見料を払う。そして人々の総督を讃える大合唱で、この幕は閉じられる。
(C) 出谷 啓
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