第2幕 背信
 ナブッコの宮殿。アビガイレは実は奴隷の子だったこと、また王はフェネーナに、皇位を継承させようとしているのを知って怒り、アリア「かつて私の心も喜びに満ちていた」をうたう。そこへ祭司長があらわれ、フェネーナがヘブライ人たちを釈放しているが、それを止めるようにと願い出る。また祭司長は自分が、王は戦いに敗れたと風説を広めて置いたので、民衆はあなたが王位に就くのを求めていると、アビガイレに語りかけるので、それを聞いた彼女は権力への野心に燃える。ザッカリアは、神に奇跡を行なわせ給えと祈る。
彼はその後、フェネーナの部屋に入って行く。
 レビの神官たちが集まり、ザッカリアと入れ違いにやって来たイズマエーレに、裏切り者と激しくののしる。だがザッカリアが再び登場して、フェネーナがヘブライ教に改宗したから、彼は決して裏切り者ではないという。王の家来がやって来て、王は亡くなりヘブライ人は死刑になると告げる。するとアビガイレが祭司長を伴なって登場、フェネーナに王冠を返上しろと迫る。そのとき群衆の中から王のナブッコがあらわれ、王冠を奪い取って自分の頭に乗せ、この頭上から王冠を取ってみよと叫び、王位を奪おうとしたバビロニア人をののしり、ヘブライの神は敗れた、わしはお前たちの王であるばかりか、今や神になったのだと宣言する。するとそのとき凄まじい雷鳴が轟き、王の頭上を雷が直撃する。雷に撃たれたナブッコは錯乱状態になり、とうとうその場に倒れてしまう。ナブッコの頭からころげ落ちた冠を、アビガイレが拾って自分の頭にかぶせる。(C)出谷 啓
つづく
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