第4幕 偶像破壊
 王宮の牢獄でナブッコは、永い眠りから醒める。外を見るとフェネーナが、刑場に引かれて行くのが見える。思わず戸を開けようとするが、びくともしないので愕然とする。アビガイレに、囚われの身になっているのを改めて気づいて、「ヘブライの神よ」とユダヤの神を冒涜したことを詫びる。アブダルロが部下の兵士を連れてやって来たので、自分はもう狂ってはいない、これから王座に行って、フェネーナを救うのだと叫んで、彼らを連れて出て行く。
 場面は変わって再び、バビロニア宮廷の屋上庭園。葬送行進曲と祈り。死刑を宣告されたヘブライ人たちが、引き立てられて来る。フェネーナもそこへ引き出されるが、ザッカリアが優しく聖別の言葉を与えるので、彼女は晴れ晴れと「大空は開かれた」とアリアで、死の祭壇に向かって立ち上がる。そこへ馬に乗ったナブッコがあらわれ、死刑を止めさせると同時に、ベルの神の偶像を破壊することを命じる。すると偶像は不思議なことに、自然に崩れ落ちて一同は大いなる奇跡に驚き、偉大なるエホバの神を称える。そしてナブッコはヘブライ人たちに、エルサレムへ帰国することを許す。不利を悟ったアビガイレが駆けつけ、その場で毒薬を呷って、フェネーナに許しを乞うと同時に、ナブッコにイズマエーレとフェネーナは、互いに愛し合っているからと告げながら、自分は静かに息を引き取る。ザッカリアはナブッコに対して、「エホバの神に仕えるあなたこそ、王の中の王である。」と跪いて、ナブッコを称えながら、全曲の幕が閉じられる。
(C)出谷 啓
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