時と所:1430年頃・フランス
第1幕/ドンレミ村(フランスのロレーヌ地方)
森の中で村娘たちが「夜の森には魔物が出るので、昼間のうちに楽しく過ごしましょう!」と歌い踊っている所へ、羊飼いの娘ジャンヌが父親のティボーと、村の若者レイモンと共に現れた。ティボーはジャンヌに「戦争で不穏な日々が続くので、早くレイモンと結婚し私を安心させておくれ」と言ったが、彼女は「私には天の教えに従う別の運命があるのです」とこれを拒否した。レイモンもまた「無理強いはよくありませんよ」と言うので、ティボーは怒って「お前が夜な夜なこの場所で祈っているのは、悪魔に取り付かれているからだ!」とジャンヌを怒鳴り付けた。その時遠くに火の手が上がり、農民たちが逃げて来るのが見えた。ところがベルトランという老農夫が、村民たちに「オルレアンが敵軍に包囲された!」と知らせているのを聞いたジャンヌが、「皆さん!天のお告げによれば敵将ソールズベリは撃たれました。ご安心ください!」と言うので村民たちは驚き、後から駆け付けた兵士からそれが事実だと聞かされた皆は、一様にジャンヌを偉大な予言者として崇めた。しかし父親のティボーだけは、娘の持つ不思議な力は悪魔の呪いだと信じ、呆れてその場を去って行った。
夜になり1人森に残されたジャンヌは、天の命を受けるために故郷の地を捨てる覚悟を決めると「さようなら、故郷の丘よ草原よ Prostite vy, kholmy, polya rodinye (仏訳:さらば森よ Adieu, forets)」と切ない胸の内を歌った。すると天から「世俗の愛を捨て、フランス国旗を掲げ戦場に赴け。そしてランスにてシャルルを正式に戴冠させるのだ。主は常に汝と共にある!」と言う天使の声が聞こえてくる(シャルル7世は内乱により、この時まだ正式に王として即位していなかった)。ジャンヌはそのお告げを聞き、体の中から戦う意欲が湧き出して来るのを感じた。
第2幕へ
オペラ名曲辞典TOP