第3幕 第1場/戦場近くの荒地
 ジャンヌは戦地でブルゴーニュの騎士リオネルと出くわし、彼が敵国側に付いた反逆者と知ると、容赦なく斬り付けようとした。ところがリオネルの美しい顔を見るなりジャンヌの心は激しく動揺し、思わず彼を逃がそうとする。「憐れみなど屈辱だ!」とリオネルがジャンヌに詰め寄るが、彼もまたジャンヌの神々しい美しさにまいってしまい、何もかも捨てて2人で逃げようと持ち掛ける。ジャンヌが愛と使命で悩んでいるところへ、王の家臣デュノアが兵士と共に現れた。デュノアは剣を差出し降伏するリオネルに剣を返すと「共に戦おう!」と言い、彼の裏切りを許した。その時ふいにジャンヌが倒れるので皆が駆け寄ると、ジャンヌは負傷していた。
第2場/ランスのノートルダム大聖堂
 人々の祝福の中、シャルル7世の戴冠式が行われている。ジャンヌの父ティボーがレイモンと共に現れ、王の傍らにいる娘ジャンヌの姿を見つけると「あの青白くやつれた顔…。あの子はやはり悪魔に取り付かれているのだ!」と嘆く。そしてレイモンが止めるのも聞かずに、表に出て来たジャンヌに向かい「お前は悪魔と通じている!」と叫んだ。その言葉に皆は驚き、枢機卿がジャンヌに「真実を」と尋ねるが、神を裏切りリオネルを愛してしまったジャンヌは、一言も発せずに黙り込んだ。その時激しい雷鳴が鳴り響き、人々が恐ろしさに逃げ去ると、リオネルがジャンヌに「一緒に逃げよう」と走り寄った。しかし彼女は「貴方のせいで私は破滅してしまう!」と叫ぶと、その場から立ち去った。
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