第1幕
キプロス島の海岸、時刻は夕方。嵐を思わせる雲行きで、激しい雷鳴が轟いている。その中をオテロの率いるヴェネツィア軍の船団が帰還し、民衆の歓呼に迎えられる。やがてオテロが颯爽と姿を現し、「喜べ、敵は全員海の藻屑になってしまった」と叫ぶ。そして嵐も静まり、人々は戦勝気分で祝宴の雰囲気になる。そこへ副官になり損ねたイヤーゴが、デズデモーナに振られたロデリーゴに、黒人のオテロと副官のカッシオには俺も恨みがある、きっと仇を討ってやると囁く。そして「乾杯の歌」を歌いながらカッシオに酒を勧めて泥酔させる。前総督のモンターノが城から出て来て砦の見張りをカッシオに言いつけるが、カッシオは泥酔していて足元もおぼつかない。それをロデリーゴが嘲笑したので、2人は剣を抜いて決闘になり、仲裁に入ったモンターノがカッシオに切りつけられる。下心のあるイヤーゴは、ロデリーゴに警鐘を鳴らせと命じ、ロデリーゴは城内に駆け込む。騒ぎを聞きつけたオテロが現れる。前任のモンターノが傷つき、愛妻のデズデモーナまでが眠りを妨げられたので、オテロは怒ってカッシオを解任し、一同に帰宅するよう命令する。オテロは海岸で愛妻のデズデモーナと2人きりになり、「暗い夜の帳も下り、私の心もお前との抱擁で静まった」と、美しい愛の二重唱を歌う。やがて月が美しく海の上に昇り、夢のような美しい場面を背に、オテロとデズデモーナは城内に入って行く。
(C) 出谷 啓
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