前奏曲。若きオーエンはロンドンにあるウィングレイヴ家館の窓辺に立ち、庭に現れた少年の幽霊を見つめている。制服姿のオーエンは亡き父の肖像画に見送られ、恋人ケイトの写真を胸に出掛けて行く。
第1幕
第1場 スペンサー・コイルの陸軍次官塾の授業
コイル塾長が戦略の講義をしているが、オーエンは授業に身が入らない。対照的に友人のレッチミアは熱心に講義を聞き、戦いへの思いを熱く語る。授業が終わり、皆が退出すると、オーエンはコイルに「私は兵士にはならない!」と申し出て、戦争を嫌悪しているのだと語る。驚いたコイルは考えを変えるように説得するが、オーエンは「塾で学ぶ事は時間の無駄だ」と言い捨てて出ていく。残されたコイルは当惑する。
第2場 ハイド・パーク
オーエンは公園のベンチに座り、馬上の兵士像を見上げながら、戦争について考えながらも、自分の意見をコイル塾長に伝えた事で、解放感を味わっている。その頃コイルはオーエンの叔母の元を訪ねる。先祖代々軍人として国に仕えて来たことを誇りにしているミス・ウィングレイヴはコイルの報告を聞き激怒する。
第3場 コイル塾長の屋敷
コイル夫妻はオーエンの友人レッチミアと酒を酌み交わしながら、オーエンを説得しようと話し合っている。そこにオーエンが現れ「決意は揺るがない」と告げる。仕方なくコイルは「パルモアに帰るように」と言う叔母の言葉をオーエンに伝える。
第4場 パラモアの館 帰省
その頃パラモアのウィングレイヴ家では居候のジュリアン夫人とその娘でオーエンの恋人のケイトが、オーエンの将来に不安を抱いている。オーエンが到着し玄関ホールに入って来るが、誰も出迎える者はない。一人オーエンはホールに並ぶ先祖達の肖像画を見つめ話しかける。やっと現れた叔母、祖父の態度は冷たく、オーエンの決断を非難する。そこにケイトも降りてくるが、再会を喜ぶこともなく「裏切りだ!」とオーエンを責める。オーエンは家族やケイトの頑な態度に傷つき、理解されないことを嘆く。
第5場 夕食
夕食の時間となる。厳格な叔母は、オーエンの父親は国王のために働いたのだと語り、祖父やジュリアン親子も声を揃えて「お前は意気地無しだ!」と責め立てる。皆の怒りは納まらず、愛していたのに失望させられたと執拗にオーエンを責め続ける。
第6場 コイル夫妻の部屋
オーエンを案じるコイル夫妻と友人レッチミアがパラモアを訪ねて来る。家族や恋人にさえ理解されないオーエンを心配し、コイルは再度オーエンを説得するが、オーエンは聞き入れない。
第7場 晩餐会
コイル夫妻、レッチミアを迎え、晩餐会となる。緊張した雰囲気のなか祖父の激しい叱責が口火をきり、叔母やジュリアン親子も同調する。オーエンは「戦争は犯罪なのだ!」と訴えるが、誰も聞く耳を持たず席を立つ。
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