第2幕 侯爵家の宮廷と領地
エリーザとパガニーニは公然と逢瀬を重ねていた。エリーザはついに彼を宮廷楽長に任命し、勲章を与え、宮廷内にパガニーニの部屋を用意し住まわせるといういれ込みようだった。ある日ギャンブル好きのパガニーニはピンネッリ侯爵との賭けに負け、エリーザからプレゼントされたブローチや大事なヴァイオリンまで取られてしまう。そんなパガニーニに魅せられたベッラは「あなたは女性運が強い」と歌いパガニーニを誘惑する。パガニーニは喜んで誘いに応じ、ベッラを部屋に連れ込む。そうとは知らないピンネッリ侯爵がパガニーニを訪ねて来たので、ベッラは急いでカーテンの陰に隠れる。ピンネッリ侯爵はヴァイオリンを返す代わりに、女性の口説き方を教えて欲しいと、ベッラへの片想いを打ち明ける。するとパガニーニは「ただ口づけをすればいい」と得意げに歌う。ピンネッリ侯爵は感心し、心を奮い立たせて部屋を出て行く。その時カーテンの陰で笑いをこらえていたベッラは書きかけの楽譜を見つける。楽譜を欲しがるベッラにパガニーニは「未完成だから」と話をそらす。ベッラが自室に戻ると、早速ピンネッリ侯爵が訪ねてくる。パガニーニから賭けで巻き上げたブローチをベッラに贈り、求愛するが軽くかわされてしまう。
その頃エリーザはパガニーニを待ちわび、まんじりともしないでいた。やっと現れたパガニーニは先程の楽譜「君のバラ色の唇に」を歌い、唯一の愛を誓う。エリーザは機嫌を直し二人は抱き合う。しかしそんな二人の目に余る行いはナポレオンに報告されていた。ナポレオンはエドゥビル伯爵を呼び「パガニーニを隊長の任務から解くか、さもなくば逮捕しろ」と命じる。命令を受けたエドゥビル伯爵がエリーザのもとを訪れ、ナポレオンの意向を伝える。エリーザは「私の夢が打ち砕かれる」と歌い、世界中を敵にまわしてもパガニーニを守る決意をする。その夜音楽会が催される。演奏を楽しむエリーザの前で、ベッラは急きょ演目を変更し、パガニーニの部屋で見つけた「君のバラ色の唇に」を歌い出す。パガニーニには、もはやなすすべもない。ベッラの胸には、エリーザがパガニーニに与えたブローチが光っている。パガニーニの裏切りに打ちのめされたエリーザはエドゥビル伯爵を呼びつけ、「音楽会が終わり次第パガニーニを逮捕せよ」と言いつける。しかしパガニーニの見事な演奏を聴くうちにエリーザの怒りは消え、過ぎた日々を回想する。そして演奏が終わるや兵士に囲まれるパガニーニを呼び止め、エスコートを頼む。二人は公然と手を取り合って退場し、パガニーニは用意された馬車で逃亡する。
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