【あらすじ】
時と場所:1563年トリエント公会議の終結の年の11月および12月。第1幕、第3幕はローマ。第2幕はトリエント。
<第1幕>
パレストリーナの部屋。夕暮。
バイオリンが流れる。パレストリーナの弟子のシッラが、新しい自由な曲に憧れて歌うシッラのアリア<Schoenste, ungnaed'ge Dame>。そこにパレストリーナの息子イギーノが登場。最近創作意欲のない父(パレストリーナ)の苦悩を語る。シッラは「新しい様式の歌を聴いて元気をだせよ」と世俗的な音楽愛の歌を奏でる。そこにパレストリーナ(ローマのサンタ・マリア・マッジョーレ教会礼拝堂楽長)とローマ枢機卿ボローメオが入ってくる。ボローメオはシッラの歌っていた歌を聴いて「不協和だ」として批判する。しかしパレストリーナは、今の自分たちの世代の音楽もやがて「新しい音」に道を譲ることになるだろうと言う。教皇がミサの音楽様式の論争を決着させるために召集したトリエント会議で、単旋聖歌を推進し、ポリフォニー音楽(多声部の音楽)が全廃されてしまうかもしれない。ボローメオはこの対立を解消しようと、パレストリーナに古い様式で清新なミサ曲を作るように依頼する。しかし、妻の死後、落ち込んでいたパレストリーナは、適任ではないと作曲依頼を断り、ボローメオは怒って帰っていく。
一人沈んでいるパレストリーナが、亡妻の肖像に語りかけていると、暗くなり、過去の大作曲家たちと亡き妻が亡霊となって現れた。そして彼を励ました。天使たちが「キリエ・エイレイソン」と歌うのを聞いて、パレストリーナは五線譜に書き留める。朝シッラとイギーノが部屋に入ると、眠る彼の傍に楽譜が散らばっていたので見てみると、驚いたことにパレストリーナはたった1日でミサ曲を書いていたのだ。
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