間奏曲5「月明かり Moonlight」
第3幕
第1場/「ボアー亭」近くの海辺
 ピーターとジョンの姿を見掛けなくなってから数日が経ったある夜。村人たちは集会所でダンスを楽しんでいるが、セドレー夫人は「ピーターが少年を殺したのではないか」と証拠探しに必死である。そんな中、エレンは密かにバルストロードに会うと「私がジョンに編んであげたセーターが海で見つかったの」と話し、バルストロードも「さっきピーターの舟が帰ったのに本人の姿が見当たらない」と告げる。二人は互いに最悪の状況を頭に浮かべながらも、ピーターたちを捜しに立ち去った。そんな二人の会話を物陰からこっそり聞いていたセドレー夫人は、急いでボアー亭に駆け込むと中にいた判事のスワロウに全てを話し、警官を含む村中挙げての殺人者捜しが始まった。 
間奏曲6(無題)
第2場/真夜中の海辺
 ピーターは海を彷徨い続け衰弱しきっていた。海辺をフラフラと歩く彼の耳に、自分を捜す村人たちの声が微かに入り込む。まるでうなされるように「あいつ等が死んだのは事故だったんだ…」と呟いたり、延々と歌を歌ったりしているピーターの意識は、既にもうろうとしていた。目の前にエレンが現れても、現実かどうかの判断もつかない状態のピーターに、バルストロードは「舟を沖に出して自ら沈めることが最後のけじめだ」と言い、舟を出すのを手伝った。エレンの止める声も虚しくピーターは沖へ出、バルストロードは悲しみに暮れるエレンを抱えるようにしてその場を立ち去った。
 夜が明け、スワロウ判事が「沖で舟が沈んでいるという報告を受けた」と村人たちに告げるが、漁師が双眼鏡を覗いてみても穏やかな沖には何も見当たらない。ボアー亭の女将が「ただの噂なんじゃない?」と笑う。小さな漁村の人々は、陽気に歌いながらいつもと同じ朝の仕事に取り掛かる。(幕)

RETURN
オペラ名曲辞典TOP