【あらすじ】
時と所:1260年・シェーナ(ボルツァーノ自治県)及びマレンマ(トスカーナ)
第1幕
第1場/ピーアの住む城
 マレンマ当主ネッロの元へ、政略結婚で嫁いできたトロメイ家のピーアは、未だ夫ネッロと対立している自分の弟ロドリーゴと、なかなか逢うことができないでいた。そんな中、弟ロドリーゴからの手紙が、トロメイ家からの使者により密かに届けられた。ところがその手紙はピーアの手に渡る前に夫ネッロの従者ウバルドが受け取り、ネッロの従弟ギーノにも内容を知られてしまう。手紙には「今夜逢いたい」と書いてあったので、ギーノは手紙の相手がピーアの不倫相手だと勘違いする。ギーノは美しいピーアに想いを寄せていたが、貞淑な妻であるピーアは全く相手にしてくれないので、そんな彼女に不倫相手がいることを知りギーノは腹を立てた「言葉にできないほど.. Non puo dirti la parola」。そしてピーアに仕えるランベルトから、ピーアに手紙が渡るよう手配すると、早速夫であるネッロの元へピーアの不貞を報告した。
 ピーアはランベルトから手紙を受け取り、今夜弟ロドリーゴと会えると大喜び。毎日悲しみに嘆く姿を心配していたピーアの侍女たちも、ピーアの明るい笑顔を見て胸を撫で下ろした。
第2場/ネッロの陣地
 ピーアの夫ネッロは、敵対するトロメイ家から妻を迎え入れたことで争いが収まることを望んでいたが、実際には妻ピーアの弟ロドリーゴとの対立は続き、そのことで頭を悩ませていた。そこへ従弟のギーノが現れ、ピーアが不貞を働いていると言うのでネッロは驚く。自分の妻は貞淑だと思っていたので、とてもそんな話は信じられない「彼女は天の聖霊と思っていた Parea celeste spirito」。しかしギーノが「今夜その相手と密会するはずだ!」と言うので、ネッロの心には怒りがこみ上げ、すぐさま城へ戻る準備をした。
第3場/地下牢
 地下牢に捕えられたピーアの弟ロドリーゴは、姉ピーアのおかれた立場が憐れだと、彼女を想い嘆いている。そこへピーアと通じている牢番が現れ、彼の協力でロドリーゴは計画通り脱獄を果たす。そしてピーアと逢うために彼女の元へと急ぐ。
第4場/ピーアの部屋
 夜の闇に紛れて、ネッロの従者ウバルドが数名の兵士たちとピーアの部屋の周りを監視している。今夜ピーアの許を訪れるであろう、怪しい人物を捕えるためだ。兵士たちの行動に気付いたピーアの従者ランベルトは、監視されていることを知らせようとピーアの部屋へと向かった。そこへピーアの弟ロドリーゴが現れる。すぐにでも逃げるようにとランベルトは言ったが、ピーアは愛する弟を抱き締めたいと懇願し、2人はしっかりと抱き合った。その時扉を激しく叩く音がし、夫ネッロの怒声が響く。ランベルトが慌てて秘密の抜け道からロドリーゴを逃がすと、すぐにネッロが従弟のギーノと共に入ってきた。そしてピーアに今誰と逢っていたかと聞くが、ピーアは答えない。怒ったネッロは取り乱し「不貞を働いたピーアを縛りあげ、牢に放り込んでおけ!」と叫んだ。
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