＜第２幕＞
第１場/フィンの住む洞窟
婚約者のリュドミーラを探す旅に出たキエフ国の騎士ルスランは、最初に善良な魔法使いである老人フィンの洞窟に辿り着いた。フィンはルスランに、リュドミーラは邪悪な魔法使いチェルノモールに連れ去られたのだと教えた。そして旅をする間、同じくナイーナという魔法使いにも気を付けるよう助言した。ナイーナというのはかつてフィンが愛した女性で、一度は振られたフィンが彼女を振り向かせるために10年かけて魔法を習得したが、いざ魔法をかけてみると彼女の姿は老婆になっていて、今ではフィンの方が追いかけ回されていると言う。彼女は逃げ回るフィンを憎むようになり、邪悪な魔法使いになっていた。けれど「北に進めばことはうまく運ぶだろう！」というフィンの言葉に、ルスランは一路北を目指した。
第２場/荒れた山道
同じくリュドミーラを探しに出たワリャーグ国王子のファルラフは、荒涼たる山道で邪悪な魔法使い、老婆ナイーナと出会う。ナイーナはファルラフに「私の魔法でリュドミーラを助け出し、お前の元に連れて行ってやる。お前は家で大人しく待っていれば良い。」と持ちかけた。ファルラフは大喜びで＜我が勝利は近い！ Blizok uzh chas torzhestva moevo!＞と歌うのだった。
第３場/霧の夜に包まれた戦場跡
さらわれたリュドミーラの婚約者ルスランは、彼女を探し出す旅の途中、死体や破壊された武器の転がる荒れ果てた戦場跡で、独り感慨深げに立っていた。自らの武器もこれまでの戦いですっかり壊れている。辺りに落ちている武器の中から使えそうな物を探してはみるが、どれもとても役に立ちそうにない。ルスランはふと足元に転がる死体たちと自分を重ね、死への恐怖にとてつもなく不安になった。しかしすぐに愛するリュドミーラのために自分を奮い立たせ、大神ペルーンに向かい「武器を与えたまえ！」と歌い、リュドミーラへの愛の歌も美しく歌い上げた。(序曲と同じ旋律)
その時霧が晴れ、地面に巨大な頭だけが転がっているのが見えた。頭はルスランに向かい「勇者達の深い眠りを妨げるな！」と言うといきなり息を吹きかけてきたので、強風が巻き起こりルスランは吹き飛ばされそうになるが、必死に槍でこの巨大頭を突き応戦した。すると頭の脇から立派な剣が現れ、巨大頭はルスランに、この剣で自分をこんな姿にした奴に仇を討ってほしいと言い出した。仇相手の名はチェルノモール。婚約者リュドミーラをさらっていった張本人である。巨大頭はチェルノモールの兄で、兄弟で立派な剣を奪い合っていたところ、兄は騙され首を落とされ、それ以来ここで剣の番人をさせられていると言う。巨大頭は「弟は小人で、弱点は魔力を蓄えた髭だ。この剣はその髭を切り落とせる唯一の武器である！」とルスランに教え、ルスランはきっと望みを叶えてやると約束する。
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